2013年7月5日(金)09時36分

2013年7月5日(金)09時36分

朝の、清掃のバイトが辛くなってきた。毎日同じ時間に同じ場所に通うということが、こんなにも人を疲れさせるのか、と思う。

寝不足というのもあるけど、それ以上に、同じ場所に今日も明日も明後日も行かなくちゃいけないということがとても重荷に感じる。しかも、そこで僕は一人でただ作業をこなすのみだ。まずビルの裏口から暗証番号を入力して、中に入り、正面入り口を開け、エレベーターで地下一階に下り、鍵をとり、管理室の扉をあけ、そこで着替えて、ゴミ袋と掃除機とモップと、タオルやスポンジや洗剤が入ったバケツと、「清掃中」と書かれた黄色い看板をもって、二階に上がり、2階に入っているテナントの扉をあけて、なかのゴミ箱を全部ゴミ袋にうつし、掃除機をかけ、流し台をあらい、机をふき(ビルに入ってからここまで45分くらい)、おわったらテナントの扉を閉める。2階共用部のトイレを掃除(トイレは男女各五分以内がベスト)したら、1階に降りて、ロビーに掃除機をかけて、ガラス戸をふいて、1階のトイレを掃除し、地下に降りる。地下のロビーも掃除機をかけ、トイレも掃除し(地下にはテナントが入ってないから、トイレの掃除を毎日する必要はないはずだ)、そこまでおわったら、今度は1階と地下1階を結ぶ外階段に置いてある灰皿を掃除する。帚とちり取りをもってビルの周りを「拾い掃き」する。以上でおわり。これに加えて、火曜日は、ビルのオーナーの住居部分の掃除がある。

これを一人でこなすのみ。それを週に五日間毎日やる。一ヶ月で20回として、一年で240回やる。2階のゴミ箱は、8個くらいあるから、1年間で2400回ゴミ箱を空にしている計算になる。

僕は一年間もこの仕事を続ける気はないけど、当然これを続けている人達がたくさんいるのだ。世の中には、一年間で240回も灰皿を交換して2400回もゴミ箱を空にしている人達が、たくさんいることがわかる。

このバイトから帰ってくるのが、一日の中でいちばん辛い時間になっている。朝の9時の時点で、僕はへとへとになって、体をひきずっている。

僕は、こんな仕事には就きたくないと思うし、頼まれても就職なんてしたくない。でも、この会社にもたくさん社員はいるし、それを生涯続けたひともいるだろう。

それは才能なのかもしれない、と今日作業中にふと思った。僕には清掃員の才能は無い。という言い方ができる。清掃員の才能がある人がいる、という言い方ができる。仕事の多様性は、そのまま人間の多様性と重なる。でも、人間の多様性はもっともっと無限のものだし、仕事の多様性と重ねてしまうのがもったいないという考え方も出来る。とにかく、この社会は本当によくできているなと思う。

 

僕たちが移動と生活を分けて考えてしまうのは、家を持ってしまっているからだと思う。最近、ビアガーデンのバイト現場に、新しい人が2人はいってきた。新しい人が入ると、それまでいた人達は、「あたらしい人」という共通の対象が生まれる。そうすると、それまでぎくしゃくしていた関係がうまくまわりはじめたりする。人の移動と、それによる心境の変化を見逃さないこと。日々、参加と脱退をくりかえすこと。

Posted by satoshimurakami