2013年10月12日19時30分

2013年10月12日19時30分

 

生活がある。それだけでなんだか笑えてくるし、感動する。彼らが何を話しているかは全くわからないけど、彼らの生活を思うと、すべてがわかるような気もする。

夫婦でお店をやっている(そのお店も、レストランだったり、雑貨屋だったり、お菓子屋だったり、本屋だったり)中をのぞいたりしてみると、彼らがお店の中でレジのお金を数えていたり、なにかを見ながら話し合っていたり、また、何もしゃべらずとも、二人の動作が、長い年月をかけて出来上がった信頼関係を物語っていたりして、彼らはここで生まれて、二人が出会って、お店をやって今にいたる。親戚も友人もいて、たまに会ってはさわがしく会話を(みんな本当に感情豊かに話をする。声も大きい人が多い。)するのだろうと思うと、それだけで笑いと感動がこみ上げてくるような気がする。

むしろ、言葉が通じないからこそ、そういう仕草から読み取れるものが多いし、僕も、言葉が通じないからこそ、自分が何を言いたいのかがより明確になるというか、そんな気がする。

町をあるいていても、書かれている文字はほとんど読めないし、すれ違う人の会話もまったく聞き取れないけど、彼らの表情から、言葉が理解できるときよりも、より多くを読み取れるような気がする。

ここにきてよかった。いろいろとコンプレックスを感じることは多いけど、来て本当によかった。こうやって、いろんな地域を2ヶ月くらいずつ転々としてみたい。

 

こっちのお店は、それぞれ看板が個性的だとか、自分のお店の名前を全面に押し出したりだとか、そういうことをしないようだ。本当にすぐ会話がはじまるので、それで十分なのだと思う。どのお店も似たような顔をして通りに面しているのだけど、そんなことは問題じゃないんだと思う。人が看板になっているという感じがする。

 

今日はミヤケマイさんに教えてもらったMURANOという島のガラスの美術館に行ってきた。「White light,Whight heat」という展覧会をやっていて、これは僕の好きなヴェルヴェットアンダーグラウンドの曲名と同じだと思ったら、案の定それへのオマージュとして付けられたタイトルらしい。良い展覧会だった。ガラスを素材として使っている現代美術を集めて展示していて、どれもよかった。美術館(多分もともとガラス製品をつくる工場だったのだろうと思う)の空間と、展示作品の相性がとてもよかったような気がする。こんなキュレーションもあるのだ。本当に面白い。

 

そのあと、すぐそばのレストラン「B」(この店もミヤケさんに教えてもらった)でパスタと赤ワインで昼食をすませて(ついに、ピザとパン以外のものを食べた!おいしかった!ちょっと高かったけど!)また船に乗って、今度はプンタデラドガーナに行った。Tadao Andoが古いお城(か教会?)を美術館に改装したところ。

ここでは「Prima Materia」という展覧会がやってた。名前がごついので、大きな美術館かと思ったら、意外と小さかった。「もの派」を思い浮かべればわかるのだけど、素材の素材性をあつかった作品を「もの派」の時代(リーウーファンとか、ジュゼッペペノーネもいた)から、ごく最近の作家の作品まで集めたような展覧会。荒川周作の平面作品もいくつかあった。面白かったけど、ちょっと点数が少なかったかなあ。知らない作家ばかりだったので、これもあとでリサーチがいる。ブルースナウマンの「No,No,New Museum」という映像作品が印象的。

 

4時前には美術館を出てしまったので、そのあとはずっとまちをふらふら。。。

Posted by satoshimurakami