5月8日

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流山のデニーズでバイトの面接をしているところに出くわす。

気がついたらあの家と一緒に生活しはじめて一ヶ月経ってる。絵もいまのところ毎日描けてる。体調を崩すのと事故だけがこわい。いま幽霊とかは全然怖くない。流山のお寺を10時頃出て、取手に向かう。田谷さんが紹介してくれた徳澤さんという取手の人が、今日の滞在場所の確保と、夕食会を開いてくれるらしい。人がどんどんつながって、昨日のことがちゃんと整理される前に次のことが起こる。僕もいま何が起こってるのかさっぱりわからない。

今日はとても風が強かった。流山から取手まで17キロあったのだけど、途中なんども家が風に煽られた。水戸街道に入ってからは歩道が広くなって歩きやすくなったのだけど、それまではほとんど歩道がないところも多かった。車が歩行者よりもでかい顔をして走っているようで腹が立った。

風に抵抗して真っ直ぐ歩こうとしたら負ける。歩いていて、風見鶏のような気持ちになって歩かないと危ない。風がどこから吹いてきてるのかを感じてそれに対して正面を向くような形にすれば耐えられる。風とのつきあい方と、風速9m以上のときは危ないことがなんとなくわかった。

夕方取手について徳澤さんと待ち合わせて、知り合いの漢方薬局だというところに家を置かせてもらい、そこで少しお話しする。そこのおばちゃんがとても面白がってくれて
「阪神で学んだけど、家は賃貸で住むべきだと思ったね。家のローンが払い終わらないうちに家が壊れちゃって、さらに新しく他てた家のローンも抱えて苦しんでる人を見るとね」
と言ってた。僕もこのダブルローンのことは三宅島でも何度も聞いたな。
あとそのおばちゃんは仕事によって生活が閉じてしまうという話を聞いた時に
「昔大手の病院で、薬剤師として働き始めて。毎日コンベアで流れてくる薬を調剤し続けるだけの仕事だったんだけど。しばらくして、」
おばちゃんは頭を指して
「ここは辞めちゃいけないって言うんだけど。私は両親に、大きな会社で働きなさいって教えられてたから。潰れないからって。だから辞めちゃいけないってここが言うんだけど、」
こんどはおばちゃんは胸のあたりを指して
「ここが、辞めたいっていうのよ。頭と心が離れていくのよ」
と話してくれた。
「しばらく頑張ってたんだけどある日、自分の一生がそうやって終わって行くイメージが見えて、それで辞めますって言ったのよ。」

そのあと、パペーテという洋風居酒屋に徳澤さんが連れて行ってくれた。

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ここで徳澤さんが何人か取手の人を集めて夕食会を開いてくれた。
話していると「日本一周」という単語が頻発した。そして、人力車で日本一周した男の人の話などを聞く。話していて、「日本一周クラスタ•旅クラスタ」的な人ともつながりやすいんだなと思った。僕は全くそんなこと考えてなかったけど、みんな僕のことを「日本を一周する人」という感じで話す。東京をうろうろしている時に「いつ出発するの?」という質問をよく受けたことを思い出した。僕はすでに出発している気持ちだったんだけど、どこかの具体的な目的地に向かって動き出してないと、いまいち出発してる感じがしないんだな。

パペーテの店の人が、朝日新聞の記者さんを呼んでくれて、取材を受けた。

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その後家はパペーテのそばにあるギャラリースペースに置かせてもらい、僕は取手市小文間にある「なるほ堂」というところに泊まらせてもらう。

このなるほ堂というのがまた面白い場所で。
http://笑楽.jp
笑楽さんという人がやってる場所なのだけど、ここではうまく説明できない。チラシももらったけど、笑楽さんと会ったことのない人が見ても理解出来ないと思う。空き家だったところを安く借りて犬とか蛇とか亀とかを飼いながら、畑でひまわりなどを育てたり、タロットカードのオリジナルバージョンを作ったり木刀を作ったり会社に行って人材育成(?)についての講演をしたりする人。全てがオリジナルすぎてどの文脈にもあてはまらないから説明ができない。

Posted by satoshimurakami