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昨夜「さっき言ってた家ってあれ?」ていう声が遠くから聞こえてきて、ドキドキしながら横になった。悪い事はしてないのだけどひそひそ話されると緊 張する。まだまだ神経が細いな。
気仙沼の方では豪雨だったらしいけれど、ここ本吉では全く降らなかった。20キロくらいしか離れてないのに。 あさ7時ごろ目が覚めた。午前中に近所で絵を描いていたら、知らない女性が
「もしかして噂の、イエの村上さんですか?」
と話しかけてきた。ついに家を被ってないときにも声をかけられた。なんでわかったんだ。そんなに浮いて見えるのかな。 昨日家が少し壊されたことも知っていた。話がひろがるのがはやい。また別のときに小さな子供が
「もしかして村上さんかなあ?」
とすこし遠くからわざとらしく声を出してこっちを見ていた。無視しちゃったけど。
11時頃に出発。気仙沼の方を目指す。歩き始めてすぐに昨日路上で出会った人から電話がきた。昨日歩いていたら突然道路の向こう側から山から帰ってきたよう な格好をしたおばあちゃんが
「ご苦労なこと!この先で休まん!」
みたいに声をかけてきてくれて、コンビニで買ったばかりらしい冷やし中華を僕に差し 出してくれた。自分が食べるために買い、ふたを開けて割り箸を割ったところで僕が歩いてるのを発見したらしく、あとは食べ始めるだけという状態の冷やし中華 をプレゼントしてくれたのだろう。いま手に持っているものを反射的に渡してくれたのだ。良いな。 道ばたの木陰の下に入ってそのおばあちゃんと娘さんと3人で、僕は冷やし中華を食べながら、おばあちゃんはパンを食べながら話をした。そのおばあちゃんは気 仙沼の仮設住宅で暮らしている。孫が14人いて、あんたも孫みたいなもんだ。と笑って話してくれた。一緒にいた娘さんのお姉さんが、これから僕が行く道沿い に住んでるから連絡してみると言ってくれていた。新聞記者も呼んでくれた。

歩きながら「これは家じゃなくて大きな傘みたいなもんだ」と考えてみる。雨とか道ばたの雑草から体を守ってくれる様子が傘みたいだと思った。ていうか家って 大きな傘のことじゃないかって考えてみると、基礎っていうものが家の機能からいかに浮いてるかがわかる。

夕方、例のお姉様の家に到着。人間が5人、犬が1匹、鶏が2羽、インコが1羽、あとたくさんのバイクがある賑やかな家だった。みんなで外でバーベキューした。楽しい。気仙沼はホルモ ンが美味しい事で有名らしい。本当においしかった。
「雨が降るかもしれないから、ここ使っていいよ」と、広い物置になってるスペースを貸してくれた。僕の家が誰かに盗られたりしないようにと、寝る前に3台の 車を動かしてガードしてくれた。

Posted by satoshimurakami