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ここらは訛が強いながら、みんな共通語と使い分けながら話をしてくれる。昨晩泊まらせてもらった家で最年長のおばあちゃ んはもとは気仙沼の生まれなのだけど15年以上東京で客商売をしながら暮らしていた時期があるらしく、その間に方言や 訛が消えてしまったらしい。
でもこっちに帰ってきてから、近所の人たちに合わせるために必死で方言と訛をおぼえなおし たらしい。大変だな。

例のお姉さんが、ここから陸前高田までのあいだに狭いトンネルがあって危ないからと、家に軽トラを積んで高田まで送っ てくれた。運転しながら 「田舎の家って広いじゃない。だから壁の向こうが隣の家だなんてことは今ままで無かったから、仮設住宅に暮らしてると ノイローゼになっちゃうの。なるよねえ。」 と、すこし唐突に話し始めたの印象的だった。仮設住宅の壁は薄いから特に子供がいる家庭なんかは、隣に迷惑がかかって るんじゃないかと気にかけてしまうのだろう。そしてそういうことに慣れてない人がたくさん仮設に入ってるのだろう。い まだに。
陸前高田のコンビニでおろしてもらい別れた。「また会えるといいね」と言ってくれた。僕はこのときトラックが気仙沼 に戻るのを見送るかたちになる。いつもは見送られる側だから意識することがないのだけど、こうしてたまに見送る側にた つと、見送られる以上に寂しい気持ちになる。なんでだろう。見送る側の方が別れがつらい。すこし気を取り直すのに時間 がかかる。
しばらく休んで納豆巻きを買って食べた後、やっとコンビニを出発。陸前高田は1年半ぶりに来た。ここは津波 で町ごとさらわれてしまったような土地。広大な範囲が更地になっていて不自然なくらい遠くまで見通せる場所だったけ ど、すこし様変わりしていた。どうやら土地のかさ上げ工事が始まっていて、赤茶色の土があちこちで盛られていた。あと で聞いたのだけど、10メートルくらい地面を高くするらしい。話が途方も無さすぎて現実味がもてない。ここら一帯が1 0メートルも人の手によって持ち上げられるなんて。試験的に計画の高さまで盛ってみたのであろう場所が1区画あって、 とても高くみえた。あんなところまで持ち上げるのか。全然違う土地になってしまいそうだ。自分たちが住んでいた土地を 土に埋めるということだ。 でも何より目を引いたのは、地上から15メートルくらいのところを張り巡らされている白いパイプ。かなり広い範囲に渡っ てパイプが走っている。こんなメガ規模な空中の構造体は見た事がないので、どこぞの未来都市かと思った。本当にびっく りした。しかもこのパイプ以外はほとんどなにも構造物が建ってないのでやたら目立つ。これはどうやら、かさ上げ用の土 を山から運ぶためのパイプラインらしい。ダンプカーで土を運ぶのではなく、山から低地までパイプで繋いでしまってどん どん土を運んでいるみたい。とんでもないことを考えるなあ。頭の中で考えた事を、現実に寄せる段階を踏まないでそのま ま実現しようとしているような、なんとなくバベルの塔っぽい滑稽さがある。

奇麗な花畑のそばを通りかかった。そこで畑作業をしていたおばちゃんに「ご苦労様だこと」と声をかけられた。 そのままプレハブの事務所っぽいところに案内されて、たまたまお昼時だったのでそこでお昼ご飯をごちそうになる。震災 後こっちの方に引っ越して制作活動を続けてる友達二人の名前を出したら
「おー、あの二人の友達か。じゃあ息子同然のように扱わざるを得ないな」
ということになり、今夜はその事務所にいた男 の人の家に泊まることに。家の絵を見せたら
「ぜひ描いてもらいたい家がある」
と言って、すこし車で案内してもらうことに。もう一人の男性と合流して3人で車に乗って高田を走った。誰が誰とどうい うつながりなのかまったくわからないけど、人が親族関係や近所関係を超えたところでたくさんつながっているのはわか る。車の中で彼らはバスガイドのような口ぶりで津波の被害跡地を解説してくれた
「右に見えますのが、高田で唯一あった野球場のスタンドライトです。買ってから一回も使わないうちに津波で流されてし まいました」「ここらにも家があったんですよ~」
みたいな感じ。これは強さだなあと思った。とても親切に案内してくれた。海沿いを通りかかった時に 「壊れた堤防はこれからどうなるんですか?」と聞いてみたら
2人が同時に
「はい。12.5メートル」
と答えた。ハモってた。こうやって外から来た人によく聞かれるのだろうなあ。
「だから、今見えている景色は堤防ができたら全然見えなくなります」
とも言ってた。 しばらく走って、丘の上のほうにある大きな家に着いた。なんかよく事態が飲み込めないうちに僕はそのいえの絵を描くこ とになった。すごい立派な家だったけれど。 夕方また車で迎えにきてもらって、その男の人の家にいく。そこで久しぶりにテレビをみた。そういえばワールドカップや ってるのだな。

0622 | 2014 | 未分類 | Comments (0)

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