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東京からのお客さんと陸前高田をまわる。昼過ぎに佐藤たね屋さんというところを訪ねる。こっちに住んでる友達が教えてくれた人。
「すごい人だと私は思うよ」
と教えてくれた。 佐藤たね屋さんのまわりにはほとんど何もない。佐藤さんだけ自分でプレハブでお店を建て直していた。ひさしなどは瓦礫を使って作られていた。震災で流された家の基礎の上に それは建っていた。店の外観からすでにただ者ではない感じを醸し出している。お店の中は普通に種を売っているのだけどその一角に本が売られている。店主の佐藤さんが英語と 中国語で書いた震災についての本。何故か日本語のものが見当たらないので、聞いてみたら
「日本語では書けなかった」
と言っていた。彼はその本を朗読しはじめた。割と簡単な英語で書かれていたので読もうとすれば読めたのだろうけれど、彼の朗読があまりにも勢いが強くて一言ごとに口から言 霊が飛んでくるようで、内容が全く頭に入らない。彼はその後そとにあるビニールハウスを見せてくれて、作った当時の話を聞かせてくれた。このビニールハウスがまたとんでも ない傑作で、当時身の回りにあった限られたものを材料として使った結果生まれた工夫がいたるところにあった。切実さの固まりみたいなビニールハウス。アルミ缶のふたをジョ イント用の金具の代わりにしていた。これがやばかった。本当に限られたものしかないときのアイデアだなと思った。ドアは窓枠に使うサッシにビニールをはったもの。みんなが あれができないこれができないとあたふたしている時に、この人は一人でこれをつくっていたのか。とにかく雨風をしのげるものを、あるものでつくればいいのだ。
「男は見とけ。このアルミ缶のふたがジョイントになるんだ。天井のこれはパイプを使ってるけど、パイプがないなら竹でやればいいんだ。竹は熱すれば曲がるから。で、天井に はビニールをはれば、寝泊まりくらいはできるんだ。そしてこいつは地震では絶対に壊れない。地面と一緒に揺れるから。縦にしっかりと作るから壊れちまう。戦争よりひどい状 態だった。サバイバル精神を発揮しないといけないんだ。そういうのはやっぱり男がもってるんだ。」 これを聞きながら泣きそうになってしまった。この台詞は外で聞いた。まわりは復興工事のダンプカーがたくさん走っていてかなり騒々しい。佐藤さんはとても大きな声で話をし た。一言一言がとても切実な響きを持っていた。すごかった。本当に凄かった。
彼は土地のかさ上げ工事のことを 「あの工事は住民のためっていうよりも、雇用をつくるためにやってるようなもんだ。だから行政のことはあんまり相手にしてないんだ。勝手にやれって思ってる。」
とにかくとんでもない人だった。殴られたような衝撃をうけた。
夜、家の置いてある仮設住宅のゲスト用の部屋を借りて泊まらせてもらう。やっぱり仮設住宅は壁が薄くて、窓の外の話し声なんかも聞こえて、ちょっと疲れるな。

0625 | 2014 | 未分類 | Comments (0)

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