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寝室を持ち歩いて、敷地を交渉することで毎日違う間取りの家で暮らしているって、これ建築家を名乗っていいじゃないか。僕は毎日設計をしているのでは。建築設計ができないと思っていた自分としてはこれは画期的な発見だ。いいじゃん。

海水浴場のベンチですこし昼寝して午前中に瀬波温泉を出発した。とりあえず海沿いを西へ歩く。ネットでこのあたりのことを調べていたら、なんか20キロくらい西に「越後の里親鸞聖人西方の湯」というディープな温泉があるらしい。黒くて強烈な匂いのする温泉で、一部では有名とのこと。ちょっと行ってみたいのでとりあえずそこを目指してみる。

梅雨かよ、って感じの雨がずーっと降っている。雨が降ると道草の葉っぱが明るい黄緑色になる。僕はこういう雨は寝袋が濡れるし靴も靴下も濡れるしで大嫌いだけど、彼らは雨が降ってくれてなんとなくうれしそうに見える。歩道にはカタツムリがたくさん出かけてきてる。ヒルも何匹か。ふまないように。草の上では雨の中ジョロウグモが自分の巣の上で何やら作業してる。車道では大きなダンプカーがたくさん走ってる。あと12時過ぎごろ、お昼休みで静まり返った工事現場でショベルカーの練習らしきことをしている男の人を見た。運転席に座って、右に回転したり左に回転したりちょっと走ってみたりしてる。みんな忙しそうだな。

ずーっと同じような、しかも歩道がない区間も多いつまらん道(雨がふっているから不機嫌になっている)をずーっと歩いて、4時頃、大きな親鸞聖人の像が見えた。「温泉」と書かれた看板も掲げられている。けど門はロープが通せんぼしていて、今は開館してないっぽい。残念。

そのまま西に歩いてたら、前に車が停まって中からサーファーって感じの格好でサーファーって感じの顔つきををした兄ちゃんが出てきた。
「なにやってんですか!のどかわいてませんか」
「のど、ちょっとかわいてます」
「お茶どうぞ」
と言って彼はポットを渡してくれた。
「敷地を借りながら移動生活をしてるんです」
「もしよかったら、今日良い敷地ありますよ」
「えーどこですか?」
「この先に藤塚浜ってのがあって、そこのサーフショップが知り合いなんですよ。パラディソっていう。そこなら泊まれると思います。」
「いきます」
という会話をして、藤塚浜に向かうことに。親鸞聖人像からさらに4キロくらい西。

夕方5時半ごろそこに着く。お店の見た目からして面白いオーナーがやってる店に違いないと思った。PARADISOというお店で、ベースは白い建物なんだけど壁中にいろんな人が描いたであろうペイントが施してある。あちこちに飾りで流木もつけられている。サーフショップとカフェが一体になってるお店。人が何人もいて、笑顔で迎えてくれた。いつの間にか空は晴れていた。

横に広くて白い砂の奇麗な砂浜の目の前にあるお店で。オーナーの阿部さんが
「日没前に着けてよかった。この時期は佐渡島に沈む夕日が見れるんですよ。今日は沖の方がガスってて島がみえないけど」
と言ってくれた。まさにいま夕日が沈もうとしてる。
このお店は阿部さんが古い建物を自分で改修したらしい。いろんな人が来て絵描いていったりしてる。つい最近、リアカーをひきながら愛知から岩手へ徒歩で旅していた絵描きの女の子が何泊かしていったらしい。僕が到着してすぐ
「リアカーをひいてる女の子と出会わなかったか」
と聞かれたから、結構強烈な思い出として残ってるんだろうなと思った。
店は今年で3回目の夏で、1年中やってる。
「冬は常連客しか来ないけどね」
って言ってたけど。

今日の敷地は海の家の中。トイレもシャワーも水場も徒歩1分未満のところにある。電源もある。蚊を気にしなくていいうえに、海の音が聞こえる。さいこう。

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Posted by satoshimurakami