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僕は箱を持ち歩いてるけど、敷地は持ち歩くことができない。土を削ってそれを持ち歩いても敷地を持ち歩いてることになら ない。面白い。

藤塚浜のパラディソを朝8時ごろ出発して30キロくらい西にある友達の実家を目指す。僕が新潟市 を通るタイミングで実家に帰るから、いろいろ話そうって言ってくれた人。始めは雨が降ってたけ ど、午後になって晴れてきた。道は相変わらず歩道が少なくて同じ景色でつまらないけど、風がなく て雨が降ってないだけましだ。路上に汚い布切れが落ちてると思ったけどよく見たらなにかの動物の 死体だった。タヌキかなんかだと思う。布切れだなんて思ってしまってすいません。

お昼過ぎ、河原に家を置いて休んでいたら近くに車が停まって、中から派手な服装で金髪のおばちゃ んが出てきた。
「なんなのこれ。さっき歩いてるの見かけて、写真撮らなきゃと思ってiPadもってきたのよ。でもロ シア人だったらどうしようかと思って。写真とっていいかしら」
とテンション高めに話しかけてきた。このあたりは貿易業がさかんでロシア人がたくさん住んでいる らしい。彼女は動画を撮りながらぼくにいろいろと質問をしてきた。僕はこの生活を始めて5ヶ月た ったこととか、東京から始めたこととかいろいろ話した。そしたら彼女が
「ちょっと失礼だからやめよう」
と言って動画を撮るのをやめた。嬉しい。反射神経の良い人だなと思った。 「なんか足りないもんある!?」
と聞いてきたので
「特にありません」
と答えたら
「なんかないの。軍資金は?ちょっと失礼だけどお金渡してもいい?」
と言う。失礼だけどお金渡してもいいかなんて言われたの初めてだ。でもその「お金渡すことが失礼 だけど」っていう感覚を持ってる人で嬉しかった。「それでも渡したい」って言うんだからやっぱり 反射神経がいい人だなと思った。笑っちゃった。
「じゃあください」
と言ったら、彼女は財布からお金を出して
「じゃあこれ。がんばってね」
と言って渡してきた。2万円だった。
「いやこんないらないですよ」
と言ったら
「いいのいいのいいの」
と言ってもう車に戻っていった。僕は自分の名前とかウェブサイトとか連絡先を紙に書いて渡そうと おもってリュックをごそごそしていたら、彼女は
「なんか勇気もらったわ。ありがとう」
といって車でさっさと走り去っていった。名前も聞けなかった。

5時半頃、友達の実家に到着。その家は父親と母親とおばあちゃんと年寄りのワンコの3人と1匹で 住んでる家。加えて今日は友達も東京から帰ってきてる。みんなとても暖かく、そんで面白がって迎 えてくれた。おばあちゃんの髪の毛が紫色だ。亡くなったおじいちゃんは絵を描く人で、おばあちゃ んは書をやる人みたい。孫が幼い頃に描いて何かのコンクールで特賞をとった絵を楽しそうに見せて くれた。その孫である友達はとても恥ずかしがっている。いいな。 「なんか、実家に友達連れてきたって感じだね」
と言ってた。おばあちゃんが笑って
「生きてるあいだにこんな人に会えて良かったわ」
と言ってくれた。

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Posted by satoshimurakami