0911

今日から「まつしろ現代美術フェスティバル」の展示作業がはじまった。丸一日設営してた。僕の会場は山寺常山邸という江戸後期の武士の住宅で、観光名所になってる。その玄関に僕の家と今まで描いた全 てと家の絵を展示する。今まで描いた家の絵を一枚ずつファイルから取り出すたびに、描いた時の心境とか天候とか、その土地の人たちの顔が思い浮かぶ。山寺常山邸には常に地元のボランティア のおじちゃんorおばちゃんが2名常駐していて、その人たちも今回の展覧会には理解があるみたい。もう今年で13回目になるんだからもう地元の人からしたら恒例行事になってるんだと思う。
平日だけど観光客はけっこういる。信州大学の大学院生と、もう一人なんか金髪の納さんって言うボランティアスタッフ2人に手伝ってもらって、今日一日で絵は全てはり終わった。その玄関が土 壁で空間としてとても良い場所で主張が強いのでちょっと押され気味な感じが否めないけど、良い展示にはなると思う。お金がピンチなので絵がいくらか売れてほしい。

晩ご飯を、展覧会の作家やら実行委員やら7、8人で宴会みたいに食べた。僕は白いご飯にイカの塩辛をのせて食べた。イカの塩辛がとてもおいしかった。久しぶりに美術っぽい人の輪の中にい て、変な違和感がある。なんだろう。落ち着きすぎて不安になる感じだ。参加作家の津田翔平さんとか池田卓馬さんとかと話せた。こうやって地域に滞在して他の作家と一緒に制作するのは去年の 大分以来だけど、あのときはずっとフリーターだったところから突然制作現場に投げ出された感じで「こういう現場でどうやって振る舞ったらいいんだっけ」とか考えてしまって、やたら緊張して 挙動不審になってそれがそのまま作品に現れた感じだけど、今回はとてもリラックスして現場にいられる。

「家を担いで歩いてると、道ばたで何度も『なにやってるんですか?』って聞かれるんですよ」
って言ったら、どう答えるのが面白いかを津田さんが一緒に考えてくれた。
「こういうスポーツがあるんですよ」
って答えるやつが優勝。

みんなが僕のことを「家を担いで歩いてる人」じゃなくて「歩く家」っていうふうに認識しちゃうのは、昨今のゆるキャラブームの影響なんじゃないかっていう話をした。街にはあまりにもたくさ んの着ぐるみが溢れて飽和状態になってる。そこでもう一個、曽根裕さんの映像作品ばりに素晴らしいプロジェクトのアイデアが生まれた。 「人が被れる大きなケーキ」を発泡スチロールとかで作る。白いクリームで赤いイチゴがのっていてろうそくが何本かささっているオーソドックスなやつがいい。なるべく細かく、とびきりハッピ ーな感じで作り込む。そんでそのケーキから足が生えて歩いてるかのようにして人が入る。それで道を歩く。それで
「なにやってるんですか?」
って聞かれたら
「今日ぼく誕生日なんですよ」
って笑顔で答える。楽しいね。

Posted by satoshimurakami