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7時頃に目が覚めた。一緒に泊まってくれた二人はもう起きていて、台風に関するニュースを見てた。ていうか、どの局を見ても台風に関する ニュースばっかりやってる。今回の台風はかなり危ないヤツらしい。どの局も沖縄とか九州とか四国のリポーターがマイクを持って嵐の中
「すごい風です!立ってるのがやっとです!」
って大声でリポートしてるのを流してる。そんな危ないことしなくていいのにって思ったけど、よく考えたら彼らはテレビの前の視聴者のかわ りに嵐を体験しているのだ。それは必要なことかもしれない。とか思いながら
「大丈夫ですかねえ」
って心配してたら町の人が
「でも富山は立山っていう山が守ってくれてっから。昔から台風の被害は酷くねえんだ」
と誇らしげに話してくれたのがとても良かった。こっちまで嬉しくなった。外は風がなくて空気が冷たくて不気味だ。嵐の前の静けさっていう 雰囲気。でも天気予報をみたら、お昼過ぎまでは風も雨も大丈夫そうだったので早いうちに出発することにした。宴会の残りものとかお菓子と かコンビニおにぎりとかをたくさんもらった。結構重いけど、人からの差し入れの重さは耐えられる。自分で買った物が重いのと、人からもら った物の重さは全然違う。その重さもエネルギーになるというか。

途中雨が降ったりやんだりしたけど風がないおかげでどんどん歩けた。なんとなく気持ちが焦って、休憩を取る時間がもったいなくて4時間半 くらいノンストップで歩いてしまった。途中、からだが2~3個にちぎられたタヌキの死体がバイパスの歩道に転がってるのを見つける。かなりきつい。ハ エもたかってる。自分と同じほ乳類が路上で死んでるのをみるのは虫とか鳥が死んでるのをみるよりきつい。
「そろそろ歩くの限界だなー」と思いはじめたころに、風が出てきた。そんなに強くないけど、風向きが不安定で不気味な風。明らかに台風の風。やばいやばいって思ってたらちょうど近くに道の駅があったのでそこに避難した。もうこれ以上歩けないので、事務所に行って
「家置かせてください」
って敷地の交渉をしてみたら、事務所のおじさんはニヤッと笑って面白がってくれた。そんで
「ここは24時間あいてっから。あんたの家、外は危ねえから中に入れな」
と言ってくれた。
「あんたの他にも2、3人おるわ。もう3日くらいここで寝泊まりしてる人もおる。」
らしい。たしかに他にも「日本一周」って大きく書かれたバックパックのそばで寝袋で寝てる人がいた。結構年上の男性。

外はあっという間に嵐になっている。ものすごい風が吹き荒れてる。危なかった。そんな風の中、僕はもう服が無いので近くのコインランドリーを探して行っ て、洗濯したあと道の駅のそばに温泉があったので入ってきた。休憩スペースに漫画がおいてあって、風呂上がりにアオハライドっていう漫画 を読むなどした。悠里ちゃんって女の子がめちゃかわいい。
そんで道の駅に帰ってきたら、さっきの日本一周の男が、地元のおじちゃんと話してたので輪に入ってみた。日本一周の男はヒッチハイクでま わってるらしく、彼と話してた地元のおじちゃんは昨日彼を車であちこち連れていった人、という関係らしい。日本一周男の方は、道の駅の物 産館で売り子をやってる女の人から電話番号を聞き出そうとしてた。割と気軽にそういうことできるのは旅人の特権かもしれない。おじちゃん の方は道の駅の近所に住んでて、ここでは色んな人と出会えるのでよく来るらしい。道の駅の近所に住むの楽しそう。

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Posted by satoshimurakami