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お寺の奥さんに色々な差し入れをビニール袋にもらって石動地区を出発した。一寸法師みたいな気持ち。奥さんは「面白い体験ができました」ってめちゃ笑って見送ってくれた。差し入れはおにぎりとお茶と鶏の唐揚げとお菓子があって、そのなかにロッテのカフカっていうキャンディがある。これがうまい。「かめばかむほどうまミルク」がキャッチコピーなんだけどその通り。

 

北日本放送の取材は今日も続いて

「今日富山県を出て石川県に入ると思うんですが、富山で印象的だったことはなんですか?」

って聞かれた。新鮮な体験が多すぎるのでこれはとっても難しい質問なんだけど

「立山っていう山が、富山を台風から守ってくれるんだって誇らしげに話してる人がいたのが印象的でした」

っていう話をしたらリポーターが

「そういわれると、我々もそれを大事にしていかなくちゃと思いますね」

と言ってた。そうかそういうものかと思った。

 

路上にトカゲをみつけた。というか草と草との間をトカゲが走り去っていく残影のようなものを見た。トカゲを捕まえるのはちょっと難しい。敵の接近に気がつくのが早い上に、スタートから一気にトップスピードまで加速して草むらに逃げる。バッタもよく見る。バッタは敵の接近に気がつくのは遅いけど

、ジャンプ力があるので目の前から一瞬で消える。しかもその方向が正面だけでなく多少左右にも飛べるので見失いやすい。カマキリは全く動かない。徹底的に葉っぱのフリをする。それぞれ戦略が違う。あとトンボは人に慣れてる個体と慣れてない個体によって逃げ方が違う。人に捕まえられそうになった奴は逃げるのが早いし、その経験がない奴は遅い。トンボが捕まえやすいかどうかでその土地に虫を捕る人がいるかどうかが推測できる。

 

倶利伽羅峠のあたりで大阪ナンバーのトラックの運転手が

「テレビ見たよ!頑張ってな」

って言ってきたり、津幡っていう町で

「変わった事が好きなんだな。話のタネに写真撮ってやるよ」

って言ってカメラを向けてくるおじさんがいて「この人偉そうだな」って思ったり、金沢市に入った頃に僕の前にトラックが停まって

「学園祭の出し物か。載せてってやるどこまで運ぶんだ」

と言ってくれてちょっとトラックに載せてもらったり。彼は金沢の植木屋さんだった。昔自分がヒッチハイクしてた経験から、ヒッチハイカーをよく乗せたりしてるらしい。金沢の歴史について色々話してくれる人で、金沢にお寺がたくさんある理由(加賀藩だかの方針で、宗派問わず寺院が集められたらしい。でもほとんど浄土真宗らしい)とか、駅が市街地から離れている理由(かつて線路を敷く頃、列車が町中で走られたら危なくて仕方ないという認識があった)とか色々聞いた。

 

そんで金沢21世紀美術館まで行った。知り合いのつてでこの美術館のキュレーターを紹介してもらって、自分の活動の話をしたらめちゃ面白がってくれて意気投合できた。僕が移住をするモチベーションになっている怒りと同じ種類の怒りを感じてると言ってくれた。

 

朝まで取材されてた北日本放送の夕方のニュースに僕の活動が紹介されて、インターネットでもそのニュース映像が見られる。予想はしていたけど、案の定ディレクターのシナリオにあわせて紹介されている感じ。報道してくれるのは嬉しいんだけど「敷地を借りた家の絵を描いてプレゼントする」みたいに言われると「敷地を借りた家じゃない絵を描けば良かった」と思ってしまう。「絵のコピーなんですけど」っていう部分も何故かカットされている。大きな違いだと思うんだけど。一概には言えないけど、テレビの制作側の人たちは視聴者のことを甘く見すぎてるんじゃないかな。「このくらいなら視聴者も理解できるだろ」っていうふうにある意味で見下して編集してる気がする。意識的なのかどうかは知らない。「わかりやすく伝える」という意図がいつの間にか「視聴者のレベルを勝手に想定する」ということにすり替わってしまう。この境目はとっても難しいことだと思うけど。

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Posted by satoshimurakami