1022 | 

朝、絵を描きおわったあとで絵のコピーをしようと思ってコンビニに行った。途中で財布を忘れた事に気がついて、とりに戻ったら牛乳を集める車が来ていた。これは毎日2回ずつ行われていることだって、常陸太田市の牧場で教えてもらった。牛は乳をどんどんつくっちゃうから、毎日絞らないといけ ないのだ。ここも同じだ。そんな牧場と、財布を忘れた僕の日常がそのとき交わったような気がした。

昨日の日記を書いてたら、牧場のお母さんが蜜柑と柿を持ってきてくれた。かつて加賀市には30軒くらい牧場があったけれど、いまはここ1軒しかな いらしい。
「酪農って他のお仕事よりもちょっとキツい仕事だからねえ」
「ああ、汚いイメージがあるかもしれないですね」
「そうでしょ。女の子が興味を示すの。男の子は続かないの。2年くらいで辞めちゃったり。男の子もっとがんばれって思うんだけど(笑)」
「なんでですかねえ」
「なんででしょうね。震災後に福島から移住してきた家族の娘さんが働きたいって言ってくれたり、ここで体験学習をやった子で学校出たら働きたいっ て言ってくれる女の子がいたり。みんな女の子なのよ」
「僕が通りかかった茨城県の常陸太田市でも酪農家が減ってるって聞きました。酪農だけじゃなくてどの地域も高齢化してて、空き家ばっかりですね」
「切ない場所もたくさん見てきたのね。でも金沢なんかに行くと、人がたくさんいて全然違うでしょ」
「そうですねえ」
このあたりでは都会といえばやっぱり金沢なんだなあと思った。
「そうなのよ。東京に向かって商売してる人たちはどんどん大きくなっていくんだけど。地域で真面目にやってる人たちはねえ…」
なんて話をした。 そのあと、お昼ご飯に招いてくれた。家に入ったら猫と犬がいた。ヤギとロバとポニーとウサギと犬と猫と鶏がいるっぽい。動物が好きでいろんな動物 を飼っていて、それと同じように仕事として牛も飼っている感じがとても良い。

お昼ご飯のスパゲッティを頂いてから出発した。今日は目的地が決まってる。金津創作の森っていうところに向かう。金沢21美の黒澤さんから福井県 の牧井先生という方を紹介してもらって、その牧井先生から金津創作の森というところを紹介してもらった。このところずっと町中を歩く事が多かった ので、久々に山の間に作られた太い道路の歩道を、誰ともすれ違わないで歩くと「日本に戻ってきた」ような気がした。僕の頭のなかの日本の風景がい つのまにかアップデートされている。これまで「故郷」とかって言葉を聞くと、山と川と森と民家や田んぼや畑のイメージが頭に勝手に浮かんでいたけ ど、最近の僕にとって日本の風景といえば、片側2車線の太い道路と誰もいない歩道だ。道路は山と山に挟まれていて、脇には雑草が茂っている。そん な日本の風景が浮かぶ。歩いてきた印象として、圧倒的にそういう景色が多い。
今日は風が強い。ドアの蝶番がはずれてドアごと壊れかけた。急遽持っていたテーピングテープ(前に津南の高橋さんからもらったやつ)でドアを家に 固定して乗り切った。ちょっと近いうちに修理が必要だな。歩く速度も遅くなるし風にイライラしてたけど、風なんか関係なく走る車たちを見ていた ら、風に左右されながら生活が変わっていくのはとっても良い事なんじゃないかと思えてきた。風によって生活が変わっていくって素敵なんじゃない か。歩ける距離が変わるから、当然その日寝る土地も変わるのだ。これは贅沢なことなのでは。

もうすっかり暗くなったころに金津創作の森に着いた。けっこうな森の中にあって、あたりは真っ暗で、物音に過剰にビビりながら着いた。ちょっと情報の行き違いはあったけれど、そこに住んでるろうけつ染め作家の加藤さんというお ばちゃんと旦那さんが暖かく迎えてくれた。加藤さんは僕が大学で教わってた土屋公雄さんのことを知っていて会った事もあるみたいだ。嬉しい。創作 の森の中に土屋さんの作品があるらしいので明日見に行ってみる。旦那さんがなんだかすごい人で、いろいろお話というか説教を聞いた。君は面白いけ ど、まだまだやれる、変われる。まだまだ甘えていると。
「自分の未来が描けない奴に、絵が描けるか。自分の未来を、鋭い眼光でビシーっとやったときに、絵が、はじけるんやっ!」
「change is growth。変化は成長です」
「さとしくんはまだまだ変化できる。まだまだいける。まだ甘えてるとさえ思う。君のような人はごまんといる。やってることじゃない。生き方の話 や。そういう生き方をしている人はたくさんいる。まだまだいける。タケノコや」
「岩登りしてるとして、岩の端をつかんでるんかっちゅう話や。岩をつかんで、ぐーっと自分にひきよせるんや。待ってたら来ると思うのは、やめたほ うがいいですよ。」
名言がたくさんだ。でもすごい勢いで言われると、こっちも怯む。確かに僕にはある種の「がめつさ」みたいなものが無い。仕事をとってきたりする野 性みたいなものがないのが弱点だと思っている。そういうのはちょっと考え直した方がいい。意識してみよう。僕はまだまだ変われるのだ。と思った。
「こうやって説教して、悔しいーって思わせるのが私なんです。今日は晩飯がうまい。さとしくんのおかげやな!」
とも言ってくれた。



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1022 | 2014 | 未分類 | Comments (2)

2 Responses to “1022”

  1. あぐ より:

    先日、テレビで村上さんの旅の姿を拝見しました´◡`
    私は京都に住んでいます。
    最近とっても寒くなってらきましたね。京都は盆地なのでグッと冬が近づいたきたような気がしました。
    身体に気をつけて、旅を続けてください( ́•ૢ⌔•ૢ ̀)

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