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このお寺には小さい女の子が二人いて、僕が絵を描いてる最中ずっと境内で遊んでた。どんぐりを拾 ったりかけっこをしたり。妹の子が僕にどんぐりを3つと、傘付きどんぐりを1つと、どんぐりの傘 だけのやつを1つくれた。完全なる無邪気さで
「はい。」
って渡してくるので、僕も笑顔になって受け取っちゃう。とてもいい。純粋すぎて眩しい。木の幹に くっついた蛾のサナギの跡をみて
「これ誰の家や」
って言ったりするかと思えば、前の道路を通る車を指差して
「あれスペーシアカスタムや!」
と言ったりする。最近家の車を買い替えたらしく、そのとき色々な車の名前を覚えたらしい。あと挨 拶がやたら元気。
「こんにちは!こんにちはー!」
って道を通る人とか停まった車とかみんなに叫びまくる。された方も挨拶を返さざるをえない。素晴 らしい。

お昼頃三十八社町のお寺を出発して、鯖江のほうに向かう。6キロくらい歩いたところで商店街っぽ いところに入った。鯖江市というところは眼鏡が有名だって、牧井先生から聞いていたけど、その通 りで店とか道のあちこちに「眼鏡」の文字がある。商店街はなんとなく寂しくなりかけてる感じはあ るけど面白そうなバーとかがたくさん目について住んだら楽しそうな町だなと思った。 歩いてたら自動販売機で飲み物を買おうとしている母娘から
「これは、どういうことですか!?」
と話しかけられて、家を背負って生活してることを軽く説明したら
「気をつけてください!」
と言ってくれた。そんでまた歩きだしてしばらくしたら後ろから
「村上さーん!!」
っていう大きな声が聞こえてふり返ったらさっきの自動販売機の前にいたお母さんだった。ものすご い勢いで走ってきて、息を切らしながら
「いま、ご飯たべてるんですけど一緒にどうですか!」
と言うのでついていった。
さっきの自動販売機の向かいに4階建てくらいのビルがあって、その脇からビルの裏に入っていった ら、折りたたみ式のキャンプ用の屋根の下にテーブルとイスが並べられてて、4人くらい人が座って コーヒーを飲みながら話していた。ビルの他に木造の10畳ぐらいの小屋があって、やたら薪がたく さんあって、薪ストーブとかピザを焼く鉄製の窯とかもある。商店街のど真ん中にあるビルの裏にこ んなどっかの山小屋みたいな世界が広がっているなんて思いもしない。すっごく楽しそう。
このビルのオーナーが藤田さんっていう人で、本人いわく「仕事は印刷屋で本業は遊び人」らしい。 なんでも今日は「穴子のさばき方講座」を藤田さん主催で少人数でやったらしく、その後いろいろ魚 を焼いて食べたりしてたところ、たまたま通りかかった僕を見つけた。 そこでピザ窯で焼いためちゃ美味しいパン(薄く切ったジャガイモとトマトとチーズ等がのっている トースト)と、火で湧かしたお湯で淹れたコーヒーをいただいた。火で湧かしたっていうだけでより 美味しく感じる気がする。藤田さんも
「火で湧かすと違う。柔らかくなる」
って言ってた。火をたいて美味しいコーヒーをのんでるけど、ビルの向こうは車の通りの多い商店街 だ。ここはゆるやかに開かれたプライベートな公共空間なのだ。とても良い場所。なかなかできることじゃない。

そのままそこで泊まらせてもらうことになって晩ご飯まで一緒に食べた。福井では「アコウ」と呼ばれるキジハタの煮付けがとても美味しかった。それが盛られたお皿に魚の絵が描かれていて、良いお 皿だなと思っていたら、藤田さんが
「もともと僕は魚をそんなに食べる人ではなかったんだけど、骨董が好きで昔骨董市に行った時にこ のお皿に一目惚れして、値切って買ったんだ。そしたら、そのころ結婚した知り合いの旦那さんが釣 り好きで、彼から大きなスズキをもらったんだ。僕はさばき方がわからないからYouTubeで見なが ら勉強してさばいて、みんなを呼んでスズキを食べた。それから魚が好きになったんだ。このお皿を 買ってからそういうことが起こるから、大事にしなきゃなって」
と話してくれた。この皿には魚を盛りつけたい。そんな皿なのだ。



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1025 | 2014 | 未分類 | Comments (0)

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