07082106 | 

お前の場合は、自分の足跡だけをみて行動するくらいでちょうどいい。もしカサビアンが丸太小屋にバンドメンバーだけで籠って制作をしてなかったら、あの謎の無敵にかっこいい音は絶対に生まれてなかった。もし都会のスタジオで練習してレコーディングして、まわりの人たちの評判を伺いながら、そこそこかっこいい音楽を奏でてそこそこの評判を得て生きてたら。あの無敵の音はこの世になかった。自分の足跡だけをみて行動するのは、生み出すためには必要なことだ。ボブディランは若い頃、金持ちの知人の家から無断でレコードだかテープだかを大量に盗んで聞きまくっていた。そして後に彼は「良い音楽を生み出すためには必要なことだったんだ」と言った。あんまり良い例じゃないけど、人の目とか気にしてたらなんも生まれない。これはマジだ。もっと作品を解放していい。考えないでどんどんやっていいし、もっと狂っていい。エーレブルーに来て、いまのところまだ一人もアジア系の人を見かけてない。背が高くてサングラスが似合うスウェーデン人ばかり見る。これほど自分の見た目や、生い立ちや、使ってる言語を意識するとは思ってなかった。彼らはたまたまスウェーデンに生まれてサングラスが似合う人になってるだけであって、同じように僕もたまたま日本に生まれて髪の毛が黒い人として生きてるだけなのだと自分に言い聞かせている。同じようにたまたまシリアに生まれる人もいるんだろう。

 

僕が滞在してるワークショップスペースの向かいに大きなアパートがあって、そのベランダで女の人2人が水着で椅子に座って日光浴をしていて面食らった。町を歩いてる人はみんな荷物がすくなくて着てる服もシンプル。老人も歩いてるけど日本の住宅街で見る数よりもずっと少ないと思う。犬の散歩をしてる人がたくさんいる。スーパーのレジの人は笑顔が素敵。タバコは基本的に野外はどこでも吸っていいらしくあちこちに捨ててある。スズメもいる。あとカラスのような不思議な鳥がたくさんいる。鳴き声が高くて気味が悪い。

今日はアートカレッジの本校のほうでパソコンをいじってたら、自転車にのった男性の老人がのっそりと入ってきた。白髪で白いひげをたくわえたおじいちゃん。昨日からこの建物を使わせてもらってるけど、人が入ってきたことがなかった。彼は自転車ごと建物の中にゆっくりと入ってきて、僕の存在に気づいてないように見えた。「ハロー」と声をかけたら、ゆっくりとこっちを見て喉を震わせながら「ハロー」と返してくれた。魔法使いみたいだと思った。彼は自転車を置いて、ゆっくりと歩いてきて、手を差し出した。僕も手を差し出して握手をした。彼は自分を指差して「ノーマン」とゆっくり言った。僕は「アイムサトシ。フロムジャパン」と言った。彼は僕のことを聞いていたらしく、ようこそスウェーデンへと言ってくれた。彼はこのアートカレッジの先生(フィロソフィーを教えていると言ってた。君のような日本人や韓国人の生徒も教えたことがある、というようなことを言ってた)であり、作家でもあるらしい。今日は紙のコラージュ作品をつくりにきたらしい。「私も同じテーブルを共有するけど、気にしないでくれ。コーヒーが飲みたかったらいつでも言ってくれた。」と言ったあとすぐに「あ、鍵を忘れたんだった。すまない。私は頭がバカになっている」みたいなことを言った。彼は話す時に、右手をすこし震わせながら、声も震わせながら話す。会ってすぐにわかったけど、全く気を使わなくていい人だった。

ノーマンと別れてワークショップスペースに戻って制作をしてたら、エミルの友達のペインターのアレックスという人が訪ねてきた。エミルと明日バーに行く約束をしていて、友達も呼ぶと言ってたんだけどそれが彼だった。「スウェーデンはお酒は全部高い」と言ったら彼は「世界で一番高いかもしれない」と言ったすぐ後に「いや、ノルウェーのほうが高いな。でも彼らはリッチだ」と言った。「スウェーデン人もリッチだと思うけど」と言ったら「うん。でも彼らの方がリッチだ。彼らにはオイルがある。」と言ってた。僕はこの「うん」にちょっとびっくりした。

こっちにきて何人かの人にあったけど、彼のような人とかノーマンとか、何かを作ってる人とは言葉が多少通じなくても何かが通じてる感がある。

 

もうすぐ日本では参院選の投票日だ。考えたら毎日同じ場所に通ったり、同じ人と会い続けて一年を過ごすっていうような経験を、6歳のときからさせられている。子供にとって一年はとっても長いから、自分が他の人とすこし違う感じ方をしてるって気がついても、このメンバーでこれからも仲良くし続けないといけないって思ったら、それを口にできないのも無理がない。それには勇気がいる。その勇気を絞って自分の気持ちを口にしたとしても、得られるものがなければ、だんだん口にすることもやめていくだろう。言い方が悪いが「こんな人はいつでも縁を切れる。嫌になったらすぐにこんなところは出て行けばいい」という態度で接した方が、逆にその人と仲良くなったりしちゃうということがある。不思議と。本当は誰の評価も気にしたくないし、フェイスブックもやめたい(奈保子もそう思っている)。でもどこかで人の評価を気にしてしまうことがあるし、フェイスブックもいろいろ理由をつけてやめずにいる。そのうち気にならなくなるのか、逆なのか。これに関してはもうすこしでふっきることができそうだ。そこまでいけるか。

07082106 | 2016 | 未分類 | Comments (0)

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