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4日はオープンアートオフィス泊。夜ふらふら散歩してたら、缶ビールっぽいものをもって広場を歩いてる男性が警官に呼び止められて、それはお酒か、そこに捨てなさい。みたいなことを言われて男性が捨てているのを見た。捨てればオッケーなのか。
5日は敷地を交渉しにニコライ大聖堂へ行った。オフィスから歩いてすぐの、エーレブルーのセントラル広場の目の前に立ってる、街のど真ん中の教会。教会前の広場はポケモンGOのポケストップになってて人がたくさん芝生に座ってスマホをいじっている。つまらん。

教会の建築はゴシック調ではあるけどストックホルム大聖堂ほど装飾的でもない。700年くらい前からこの場所にあるらしい。内部の中央通路にはLGBTの権利を表す虹色の敷物が敷いてあった。

日本も色々あるが、スウェーデンにも色々あるんだろうなと、理解できた瞬間があった。昨日は広島に原爆が落とされた日で、日本は敗戦のコンプレックスだとか、歴史が蓄積されないだとか色々言われているけど、スウェーデンもキリスト教化された国の一つで、教会が虹色の敷物を敷いていて、色々あったし、今も色々あるんだろうなと。

歴史の動脈のことを考える時、積み重ねたレンガのように、わかりやすく蓄積されたようなものをイメージするけれど、歴史がそうやって「わかりやすく蓄積されていく」ということはないんだろうと思う。しかし本当にキリスト教にはまんまとやられている。

ちょうど僕が教会についたときだれかのお葬式の直後だったらしく、教会のドアの前には黒服の人たちが何人かいた。家を背負って歩いてそこにつっこんでいったので、若干不謹慎だったかもしれない。全員が完全に訝しんでいた。

最初中にいた女性に「この教会のオフィスはどこですか」と聞いたら、向かいの建物のカフェの中だと言われ、そこに行ってチャイムを押して、出てきた女性に「自分は家を運んで寝泊まりしているアーティストで、敷地を借りたいんだ」とフライヤーを見せてopen artという言葉を使わずに説明したんだけど「ここに寝る場所はない」と言われた。「ここはただのカフェなんだ」みたいなことを言ってて、よくわからんが、その女性がまた完全に怪しい人間を見る感じで見てきた。

そのあともう一度教会に行き教会の人に直接プロジェクトの説明をしてみようとしたら、たまたまアーティストのアレックスに会った。彼が「交渉してくる」というので、僕もあわてて着いていったんだけど、彼は教会で人を捕まえてすでに「open art」というワードを使って説明してくれていて、許可をとってきてしまった。彼が話していたのがこの教会の司祭っぽい。知的な印象のおばさんだった。僕としてはopen artというワードが魔法のように街の人からの信頼を得てしまうのでそれを使わず許可をとってみたかったのだけど、よく考えたらopen artがなかったらここには来ていないわけで、変なことにこだわっているのかもしれない。このへんの微妙な議論がこっちのアーティストたちとできないのが歯がゆい。

無事に許可とれたのはいいけど、なにせ街の中心部なのでひとがたくさんいる。夜中に人が来ても全然おかしくない。でもすごく開けっぴろげな場所なので、逆に危ない目には合わないかもしれない。

しかもエミルいわく、先週に給料日があり、今日は金曜の夜だからみんな酒を飲みに街に出るぞと言われた。大丈夫かと思ったけど、逆に人の目によって、変な訪問者を減らす、身を守るということがあるかもと思って、あえて大聖堂の正面入り口の扉の前に家を置いて寝てみることにした。こんな試みは初めて。

夜、先日庭を貸してくれた家族からメールが来る。今日テレビで僕の取材の様子が流れたらしい。僕はローカルニュースだと聞かされていたので油断してたけど、svtという国営放送のローカル枠ということだったらしい。

夜になり、なるべく目立たないように家に入り、物音を立てぬように家の中で支度をして、耳栓をつけて、横になった。しばらくは人の気配や、誰かがすこしドアを開けようとする音(でも、鍵が閉まっているとわかるとすぐに諦めて去っていく)で寝付けなかっけどいつの間にか寝てた。

そんで、ドアをノックする大きな音で夜中の4時前に起こされた。耳栓を外したら、なんか外が賑やか。男女入り混じった若いグループがすぐ近くのベンチで飲んでるらしい。そのなかの一人のお調子者みたいなやつが、ちょっかいを出しにきているという感じ。ハローと言ってドアを開けようとしたり、家をゆすったりしてくる。完全にめんどくさい状況になったなと思ったけど、耳栓をつけて無視することにした。しばらくしたら去っていった。

彼らがなんと騒いでたのかは全然聞き取れないけど「オープンアート」というワードは頻繁に聞こえた。オープンアートのプロジェクトだと知ってるから、ちょっかいを出せたんだろうなと思う。

これは大事なポイントかもしれん。オープンアートの作品だと知っていなければ、こんな怪しい、中にどんなやつがいるかわからないものにいたずらをしようとはなかなか思えないと思う。オープンアートの一環になることで、これは安全なものだっていうことが保証されてしまっている。

翌日6日。夜中に起こされたことで眠くてかなりうんざりしていた。家を再びオフィスに移動させた。アレックスが「今夜友達の誕生日パーティーがある」と誘ってくれて、そのためのビールを買いにナショナル酒屋へ。このナショナル酒屋に行かないと、アルコール度数が高いお酒は買えない。この酒屋は全国にあり、ここで売られてるすべてのお酒は価格が統一されてるらしい。中は酒屋というよりも綺麗なデパートという印象。買うとき、全員がID提示を求められる。

ビールコーナーが充実していて、なんとアルコール度数10パーセントのビールも売っていた。スウェーデン製。

結局友達の誕生日パーティーは1週間後の勘違いらしく、5人くらいでえみるの家で飲んだ。

僕は例によって飲みすぎて、今日のお昼くらいまで頭がくらくらして何もできなかった。彼らと一緒に飲んでるとたいていこうなる。彼らはお酒が強すぎる。無性にラーメンが食べたい。スウェーデンはラーメン屋がないのがとてもつらい。ラーメン屋がないのが結構つらい。スウェーデンに引っ越せと言われたら、ラーメン屋がないから嫌だと言おう。

Posted by satoshimurakami