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朝、4時半頃に一度目が覚めた。文明ングというタイトルはやめようと思った。すぐ寝て、今度は7時半頃に目がさめた。外を通る車のタイヤの音で、雨が降っていることがわかった。8時過ぎた頃に住職さんが「おはようございます」と訪ねてきて「朝ごはんよかったら。持ってきます。あまり期待しないでよトースト一枚とかそんなもんだから」と言う。断るのもアレなので(こういう時断るのが苦手だ。というか受け取らないと悪い気がする)「じゃあお願いします。ありがとうございます」と。僕は雨でもお寺を描くために一度外に出て写真をとってそれをパソコンに入れてその画面を見ながら絵を描きはじめた。しばらくしたら再び住職さんがトースト2枚と目玉焼きとウインナーとレタスふた切れとコーヒーが乗ったお盆を持って来た。住職さんはパソコンをみて
「パソコンも持ってるのか」
「はい。日記とか書いています」
「書きものもあるのか。出発する時は一声かけて。私も出かけるから」と言って去っていった。
11時前には絵が描き終わって、それを大牟田駅に同化してるファミリーマートでコピーしてメッセージを書いて、出発する準備を整えて挨拶をするために玄関のチャイムを押したら奥さんが出てきた。住職さんはもう出かけたらしい。奥さんにコピーしたドローイングをプレゼントして見送られながら出発。それからひたすらひたすら歩いて18キロくらい歩いたところで16時過ぎに玉名市の玉名駅近くに着いた。雨はいつの間にか止んでいた。
玉名駅近くで敷地を交渉しようと思って二つあったお寺に行ってみたけどチャイムを押す前に直感で「ここはやめよう」と思って二つともやめた。そこからさらに1.5キロくらい歩いたところにお寺が密集してる地域があったのでそこで敷地交渉を始めた。ひとつめに行った大きな神社は社務所で女性に「ちょっと宮司がいないのでなんともいえませんね。何時に帰ってくるかもわかりません。はい」と断られた。彼女は明らかに不審なものを見る目をしていた。二つめにいったお寺では住職さんが出てきたけど「うちは困りますよね。こういうことだったら、トイレがある公園とか。うちは困りますよ」と断られた。暗くなってきたなと思いつつ三つめに行ったお寺が子供の声もして賑やかだった。たくさん家族がいるみたい。チャイムを押したら女性が出てきて「今、住職が!ちょっと待ってください。中に入って待っててください」と言って家にいれてくれた。この時点でだいぶホッとしていたと思う。ちょっとしたら住職さんが出てきて一通り説明を聞いて「中でねてもええよ。そとでもかまわんけど」と言ってくれた。ほっとした。もうすこしで「玉名はだめだな」とか思うところだっけど思わずにすんでよかった。この住職さんがめちゃ親切な人で、僕に強く「中でねるのがいい」と勧めてくれた。「離れがあるからそこを使うといい。見るだけ見てみたら」と言うのでみせてもらった。そこは水道(ちょっとサビっぽいけど)もあるしトイレもある離れだった。断るのもアレなので(断るのが苦手だ)「ここで寝ます」と言った。
住職さんが「夕ご飯は・・」といいかけたので「晩御飯は向かいのラーメン屋(すぐ向かいにラーメン屋があった)で食べます。大丈夫です」と言った。
「そうか。ラーメン食べ。お風呂は、9時過ぎたぐらいだったらうちのお風呂いいよ。しばらくお風呂入ってないろ」
「いやあ、僕が緊張するからいいです。近くに銭湯ないですかねえ」
「あがったところにあるけどなあ。20分くらいかかるぞ」
「なんとかします」
とやりとり。住職さんが去り際に「ラーメン代やる」と千円札をくれた。「ありがとうございます」と受け取った。つくづく断るのが苦手だ。このプロジェクトに対する僕の認識と、現場で出会う多くの人がする認識が大きく違いすぎる。こうやってお寺で人から何かもらったりするのを続けると何か悪いことをしている気がしてくる。「旅」とか「経験のひとつ」という枠からどうしても出られない。期間を決めてやれば割り切れるかもしれないとも思う。昨日のマヤ暦のおじさんの話じゃないけど、節をつくるのは本当に大事かもしれない。

去り際に住職さんは
「風呂上がり何時か知らんが缶ビール持ってくるかもしれん。ここ冷蔵庫ないばってん。あとでまた顔だすけんね。」
と言い残していった。「ありがとうございます」としか返せなかった。僕はお寺を出て向かいのラーメン屋に入った。入って椅子に座ったらすぐにおばちゃんから「なんにしましょう」と聞かれたのでちょっと慌てて頭上に貼り出されてるメニューをみたら「ラーメン」「大盛ラーメン」「ご飯小」「ご飯中」「ビール中」「ジュース」とある。ラーメンは「ラーメン」の一種類だけらしい。わかりやすい。ぼくはおばちゃんに「ラーメンをひとつ」と言った。「ジュース」というのはなんだろうと思った。しばらくしてラーメンがきた。ラーメンが来たら「にんにく入れますか」とすかさず別の女性の店員が駆け寄ってきた。その後も観察してると、ラーメンを出す時に客ににんにくを入れるか聞いている。僕はにんにくが入ったラーメンを食べ終わって、ご飯小を頼んでそれも食べおわり、ラーメン屋を出て温泉を目指して川沿いを歩いて北上した。事前に地図を見たときは川沿いは気持ちが良いだろうなと思ったけど実際は道路の川の側には歩道がなくて反対側を歩かなくちゃいけなかったのであまり皮を感じられなかった。手持ちの石鹸が昨日の銭湯でなくなって、シャンプーもあるか自信がなかったので10分くらい歩いたところにあるファミリーマートに入って石鹸を一つ買った。最悪頭は石鹸で洗えば良い。さらに5分くらい歩いたところに足湯公園というのがあって、投光器が焚かれて人が集まっていた。ステージがあって「おやじロックフェス」という地元感あふれる音楽イベントがちょうど閉会の挨拶をしていた。ちょっとだけそれをのぞいてそばにある「玉の湯」に入った。大人一人200円の公衆浴場と聞いていたので温泉街によくある小さな銭湯かとおもったら結構立派な銭湯で、テレビが観れる休憩スペースもある。テレビのニュースではキューバのカストロが亡くなったニュースに関して、キューバの街頭でのインタビューを放送していた。若い女性が「崇拝すべき人だ」と答えていた。お風呂は結構混んでいた。いまはお風呂上がりで休憩室にいる。これから家(寺)に帰る。最近エレファントカシマシの「扉」というアルバムをよく聞いている。

 

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Posted by satoshimurakami