08082325

なぜか制作欲求がおこらない。暑いからなのか。時々こういうことはある。個展と、熊本市現代美術館の展示に向けて新しいアイデアとそれに向けてやることはたくさんあるのに。全然だめだ。というわけでもないけど今日はなぜか池澤さんの家にあったラースフォントリアーの映画を三本も見てしまった。「アンチクライスト」「マンダレイ」「奇跡の海」。奇跡の海は、これは原題がBreaking the Wavesだ。奇跡の海ってタイトルは、もうネタバレしちゃってるじゃないか。ジャケットも微妙だ。「綺麗な愛の話」みたいなジャケットだけど、中身はとんでもないものだった。ラースフォントリアーはダンサーインザダークを小さきとき見たけどあまり覚えてない。奇跡の海の中で「彼女は善意に蝕まれて死んでいったと、そう書いていいのですか?」というセリフがあったけど、3本ともこの台詞が通底している。キリスト教への皮肉も感じる。でも奇跡の海はラストで神が出現していた。「善い行い」がむずかしい。ただ圧倒されるしかないのだけど。色々な僕たちがいて、法律や習慣の中で神経症やうつ病を抱えながら神様を信じながら生活している。そのなかで大勢に向かって一概に「善い行い」をしろというのはどういうことなんだ。あと、二人や集団のあいだで時間をかけて培われた習慣やルールや愛の営みや色々なことを、その培われた時間を知らない人間が目撃した時の異常なまでの奇妙さ。身に覚えのない人なんているのか。登場人物たちは、誰一人として特別な、なにかスゴイものを持った人とかではなかった。みんな普通につつましく暮らしている人たち。つつましく普通に過ごしていたら、いつしか狂ったものがそこにあったりする。というか何が狂ってるかどうかなんて一概に定義できるのか。いつのまにか全員狂っちゃってるんじゃないか。

Posted by satoshimurakami