3月28日(7日目)

ようやく7日目。週末に楽しみができた。昨日は眠るのが遅くなってしまって、お風呂に入る気になれなかったので朝シャワーを浴びた。今日も快晴。暑いくらいの気候。もうダウンは要らないかもしれない。一応持っていくけど。ホテルを9時ごろに出発、歩いて教習所まで行った。春だ。白い光。

今日の予定は、3時限目(10時10分から50分間)と4時限目(11時10分から50分間)に無線の運転教習があり、あとは模擬テストを自分の意思でうけるだけ。その気になれば、4時限目が終わってからどこかに出かけたっていい。教習所に繋がれてしまっている感覚がもう染み付いてしまったけど、本当は自由にどこにでもいける。ホテルに帰って寝てもいいし、映画を見に行ってもいいし、山登りをしに行ってもいい。春であることを理由にしてもいい。

教習所に行って原簿をもらったら、先日受けた適性検査の結果が挟まっていた。

「運転適性度」は5段階中3、「安全運転度」はA-E中Cだった。

○総合診断○

『真面目で節度のある生活をします。ただあまり要領のよいタイプではありません。どんな場合にも適切に処理できるよう考え方に柔らかさが必要です。

やることがていねいで正確です。運転するときにもこの長所をいかしてください。

とても、こころがすこやかな状態です。』

この最後の「とても、こころがすこやかな状態です。」という言葉が気になる。「こころがすこやか」がひらがなで書かれているのが、いかにもすこやかそうな感じがする。「健康度・成熟度」の項目(身体的健康度と精神的健康度と社会的成熟度の3つある)のうち「精神的健康度」なるものが最高評価のAだったのでこう書かれているんだけど、「情緒不安定性」の項目を見るとA-C中C評価で最低になっている。僕はこころはすこやかだけど、情緒は不安定らしい。ペーパーテストでなぜ健康な体かどうかを判断できるんだ?

「情緒不安定性」(これもすごい言葉だけど)の他に「柔軟性」も最低評価のE。「適応性」もE。最高評価をとったのは、「緻密性」と、「精神的健康度」。こころのすこやかさとは?あとは「決断力」がDらしい。なめられたもんだ。

***安全性のついての注意点***

『考えごとをして一つのことにとらわれてしまい、動作が遅れる可能性があります。十分に注意してください。

環境の変化に応じた適切な処置をとることができません。安全には重要なことです。充分注意してください。

感情の起伏のはげしい性質です。カッとなったときに、おもわぬ大事故を起こす危険があります。

物事をやや深く考えすぎて、適切な決断や行動を欠く傾向があります。

少し虚栄心が強い人か、まじめな人のようです。前者の場合は、見えを張らず控えめな運転をしましょう。

運転マナーは、安全運転には欠かせないものです。周りの運転に腹をたてることなく、おだやかな気持ちで運転しましょう。

運転には、充分に注意してください。』

僕はこれを受けて、もっと徹底的に一つのことにこだわるようにし、まわりの環境の変化にかかわらず自分の直観を信じて、心の起伏の山はもっと高く、谷はもっと深くし、ものごとをいまよりももっと深く考えるようにし、もっと真面目に誠実に、もっと見栄を張って生きていこうと思った。まあこれは自動車の運転適性検査だからそんな目くじらたてるものでもないのもわかっています。

3時限目から、立て続けに二つの無線教習。一つ目の教習は、途中なにも言われなさすぎて無線が壊れたのかなと思ってしまった。特に言うべき注意がなかったんだろうと思いたい。すこしずつ車の扱いにも慣れてきた。同時に二つ三つのことができるようになってきた。4時限目の方は初の女性教官だった。こちらも特に注意はされなかった。

無線教習が始まる前、机を二つ並べただけの「集合場所」と呼ばれる小さなスペースに、教習生が集まって教官からの説明をうけるのだけど(無線教習は一人の教官が3,4人の教習生を同時にみる)、そのとき他の教習生徒の距離を近くして座らないといけないのがたまらなく嫌だ。18歳くらいの猿だか屍だかはっきりしないのが、たいていグループになって何か話しているのだけどそのとき視線をなんとなくこっちにむけてきたりする。他の人間のことを気にしながら話したりしているのが伝わってきてそれが本当に不愉快だ。俺は運転はするが形が見えない亡霊になりたいと思った。

ガーディアンズオブギャラクシーでスターロードが「お前ら、そんなんだから友達いないんだよ!出会ってすぐに殺し合いか!」とロケットたちに向かって叫ぶシーンがあるけど。僕はたまらなくグッときてしまった。

今日も昨日と同じく人が少なくなる時間帯(時限が終わった直後がもっとも混み、時限と時限の開始時刻の間、つまり教習の真っ最中は比較的人が少ない)に食堂へ。ロコモコ丼だった。ただ目玉焼きじゃなくて卵焼きだった。食堂にはテレビがあるのだけどそこで佐川理財局長の証人喚問のニューをやっていて、それをちらっとみた隣のテーブルに座っている女の子が「わたし麻生さんの顔好きなんだよね。おもしろくない?」と話している。「ヤクザと戦う警察官みたいな顔」らしい。

14時50分から、3回目の模擬ペーパーテストを受けた。このテストは奇数の時限ならいつでも「自習室」で自主的に受けることができる。プラスチックの箱に自分の「教習手帳」を入れ、回答用紙を一枚取り、机に座って待っていると問題が配られる。マーキング方式。それを解いて教官のところに持っていくと、採点してくれ、点数が教習手帳に書かれる。

僕たちは教官から「これを何回もやって仮免許試験に備えるように」と、再三言われている。なにやら、時々とんでもなく難しい試験があるらしく、通常のテストは98パーセントくらいの合格率らしいけど、それに当たってしまったら50人受けて20人くらい落ちてしまうらしい。そんなのありなのか?公的なテストなのに大丈夫なのかそれで。今回は98点だった。これまでで最高得点。100点を三回連続で取るくらいまではやったほうがいいんだろうと思う。今スケジュールをみたら、もう明後日は仮免許試験だった。完全に油断している・・。今回の担当教官が百地先生で、点数を書きながら「いいっすねー」と言ってくれた。○をつけているときと、点数を書いている時の2回。嬉しかった。とても。いつも教鞭をとっている姿とタバコを吸っているす姿しか見ていないので、ちょっとした有名人に会えたような気分。

テストの後は、道中のブックオフに寄ったりしながら(ブックオフにはゲームと漫画ばっかりで文庫本を探していたのだけど全然置いてなかった)のんびり歩いてホテルまで帰る。

アマゾンプライム無料期間でかつインターネットが繋がってるのをいいことに、いろいろ映画を見てしまう。昨日は「第9地区」を見て今日は「ゼログラビティ」(原題は単にGravityらしい。こっちの方がいい)とミスタービーンの映画を。ビーンがホイッスラーの絵をめぐって色々しでかす内容。なんとなく見覚えのあるシーンがあるのでずっと昔に見たことがあると思う。ミスタービーンは、正確な時期は忘れたけど、深夜にテレビでやっていて、それを楽しみにして見ていた。深夜なのでリアルタイムではあまり見ずに、録画をしていた。上からビーンが地面に降ってきてふらふらと立ち上がり、画面の外に消えていくというおきまりのオープニングを、建て替えられる前の実家の茶の間で見ていた光景を覚えているので、中学生以前。

Posted by satoshimurakami