08151416敗戦の日 | 

映画新聞記者を見た。全体に「ペンタゴンペーパーズ(邦題)」を思い出した。印刷機が動く様子を終盤に持ってくる感じとか、演出も似ている。ペンタゴンペーパーズは50年前の話だけど、これは現行の政権のもとでの新聞記者と官僚の葛藤を描いている。ペンタゴンペーパーズは、「運命の瞬間」のときは割と軽い感じの演出で描かれていたけど、この映画は全体に重たい演出だった。全体的にずっと重たい感じ、という意味では単調だったけど、内閣調査室のシーンの青い光の感じと、自殺した官僚の神崎さんの家の中の赤い色味というか、自然な色味が対照的で、その行き来はスリリングで面白かった。そして終わり方がペンタゴンペーパーズと違った。答えを出していなかった。つまり「立派な人間」とは「かっこいい」とはなんなのか、というのは映画の中で、それとなく描かれているけど、その勇気ある決断をした松坂桃李演じる官僚が、その後ハッピーエンドを迎えるようには描かれていない。わからない。唐突に終わる。ボールが突然こちら側に渡される感じ。それが現代の問題を扱う映画らしいというか、その決断がどんな帰結をもたらすのかまでは描いていない。原案があるらしいので、それを読んでみたいと思った。その終わり方が気になる。

主演の女優の方がとても良かった。最高だった。神崎の部屋で松坂桃李相手に言った「私たち、このままでいいんですか?」というセリフ、これがこの作品全体を象徴している。こちら側に指を指されるような感じ。「私たち」には、観客の側も含まれている。あと、多田さんという調査室のボスから卑怯にも匿名でかかってきた電話、しかも内容は「君のお父さんの記事、本当は誤報じゃなかったんだ」というだけの、ただの嫌がらせでしかない者に対して、これはむかつく!!さあ、どう返す?と観客の誰もが思ったであろう場面で、主役の記者が返した「あの、わざわざありがとうございます。という台詞は最高だった。誰よりも自分を信じ、疑えという父の言葉を背負って生きている人間と、自分の体と現政権とを一体化させて見事な思考停止に陥っている多田との、経験値と格の違いをたった十数文字で見せられて痺れた。

しかし、これがもしかしたら一番大事なのかもしれないけど、この映画は普通にエンターテイメントというか、楽しめる映画として見た。主人公二人の心情もよく描かれていて理解できたし、何回か泣いた。面白かった。武田砂鉄さんだったか、誰かも言っていたけど、この映画が「政権批判」みたいな感じでメディアに取り上げられることがあるらしいけど、それはちょっと神経症だ。普通に楽しめばいいのに、わざわざ自分の時間を割いて目くじら立てるような人間がいることに僕はリアリティがないけど、実際そういう神経症の人はいるんだろう。私のまわりには見当たらないけど。

08151416敗戦の日 | 2019 | 未分類 | Comments (0)

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