5月4日

朝7時半ごろに神社を出る。6キロくらい北上して、新座付近に着いたのが9時過ぎくらい。

このあたりは野火止用水というのが走っていて、用水沿いにきれいな緑道がある。ゴールデンウィークっていうのもあって、人はあんまり歩いていなかった。ときどき犬の散歩をしている人や、散歩している人やランニングしている人が通る。そんな用水沿いにいったん家を置いて、近くの家の絵を描いていたら、女性が突然、えらく目を輝かせて「あの家は何ですか?」と話しかけてきた。事情を説明したら「私も現代美術が好きで、自分でも絵を描いたりしてるんです」という。はなしているうちになんか盛り上がってきて、もしよかったら今晩家を置かせてもらえないか、と聞いてみたら、なんとオッケーしてくれた。旦那さんと二人で、このすぐ近くに住んでいるらしい。

夕方もう一度落ち合う約束をして一旦別れる。

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家を近くの公園に移動して、絵の続きを描く。家を置いといたら、大人も子供も近づいてきて、ドアを開けたりして遊ぶ。僕がそばにいてもあんまり関係なく遊ぶ。公園の遊具かなにかだと思うのか。

子供のグループが集まってきたので

「遊んでもいいけど壊さないでね」と声をかけると

「え!お兄さんがこれつくったんですか?」

「そう。これで移動生活をして絵を描いてまわってるんです」

「それは…。とてもユニークですね!」

と、一人やたら食いついてきた子がいた。中 1、小5、小2の3人グループで、兄弟でも、家が隣り同士とかでもないけど、よく一緒に遊ぶらしい。いいな。

中1の子は生意気にも彼女がいて、二人でディズニーランドにも遊びにいったらしい。その子がこの活動にやたら食いついてきて、他の子が「暇だよ。早く○○の家行こうよ!」とせかすのだけど、その中1は「お前にはアートというものがわからないのか」と言って聞かない。その後「俺もわかってないけど…」と付け足した。

10分くらい僕が絵を描くのを眺めて、ようやく「それじゃ。このご縁は忘れませんよ」と言い残して去っていった。

 

そのあと、武蔵美を出て高校の美術教師をやってる高貫から突然電話がかかってくる。いま新座にいると言ったら、遊びにきてくれた。いろいろと近況を聞く。1年以上会ってない。彼女は学校を卒業してから教員になるまでが決して一本道じゃなかった。仕事が楽しいと言っていた。良かった。

 

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その夜、田谷さん夫婦と新座駅前の居酒屋で合流。高貫も入れた4人で飲む。

田谷さんの奥さんの方は絵を描いていたり銅版画をやっていたりする作家さん。

http://hakobunedoh.com

旦那さんは編集者でロック好き。

若い頃「あの年のあの場所のライブ音源がヤバいらしい。聞きたい」とビートルズやストーンズの海賊版を買ってきては「ハズレだ」といってがっかりしたりする。音楽を探すにあたって、そんなルーレット的な感覚は僕は味わったことが無い。youtubeと、早い回線があれば音楽をデータにして持ち歩く必要すら無いと思っていたけれど、そもそもyoutubeにたくさんの音源がちゃんとあがっているのは、そうやって買い漁ったりして音源を手に入れた人たちのおかげなんだろう。

いろいろと話を聞きながら、ご夫婦2人がバトンタッチしながら話す感じが面白くて、一緒に過ごした時間の長さを感じた。奥さんはシュタイナー好きらしく、高貫も好きなので、話が盛り上がったりする。
僕が「家で歩いてる時はすごく暇。そして不思議なことに、自分が動いている感じがしない。世界が後ろに流れて行くような感じがする。」
という話をしたときに田谷さんが、それはタオイズム的だという話をしてくれた。地球の運動に合わせて、早すぎず遅すぎず動いている感じ。世界がこっちに向かってきて、こちらも世界に向かって動いている感覚。その解釈はシュタイナー好きな田谷さんだからできるような気がして面白い。僕はシュタイナーをちゃんと通ってないのでもっと本とか読んでみようと思った。

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家をマンションの通路の隅っこに置く。ぴったりとはまってくれた。

 

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写真を撮る二人

 

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ふとん。ロスコやコーネルの画集やシュタイナーの本や「半農半X」や大竹伸郎さんのエッセイ集やら、いろんな本があって、なんかどんどん持ってきてくれるので、それらを眺めながら寝る。

Posted by satoshimurakami