5月17日

朝、水戸芸の森山さんから電話がかかってくる。水戸にはぴょんた文庫というスペースがあって、そこで今日の夕方に下市交流会という会合があるらしい。よかったらきてください、と言われる。よくわからないけど行くことにする。

水戸の次に行く予定の常陸太田市に滞在中のアーティスト林友深に電話したら暇だというので、鈴木君の車で常陸太田に遊びにいった。家は昨日の駐輪場に置いたまま外出。

車は速い。速くてなめらかで、しかも風の影響を受けにくい。ただ車に乗っていると外がどれだけ風が強いのかがわかりにくい。30キロがあっという間で、道を8キロ行き過ぎたんだけど戻るのもすぐだ。すごい発明だ。歩いていると車に腹が立ってしかたがないけど、のってみると快適だから複雑。

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林さんと合流して常陸太田の竜神大吊橋という観光スポットに行く。大きな吊り橋と、たくさんの鯉のぼり。

この吊り橋は、渡ってもどこにも続かない。変だ。橋ってどこかに行きたいけどその途中に谷があったり川があったりするときにつくるものだと思ってた。現在地と目的地を結ぶためのもの。ニーチェだって「人間は克服されるべきものだ」という意味で「人間は橋だ」というようなことを言ってた。なのにこの橋は渡っても何もない。強いて言えば100円入れたら音が鳴る鐘がある。そこには「恋人と手をつないで鐘を鳴らせば、二人の愛が深まるかも?」と書かれていた。どういうことだ。この橋は橋のための橋だった。展望台としての橋。橋から風景を、そして橋そのものを眺めるための橋だった。つくるのにすごいお金がかかってるはずで、橋に入るのに310円かかるんだけどこれで採算とれてるのか。そもそもよく作る気になったな、と思った。でも橋からの眺めはとってもきれいだった。

林さんが

「木を上から見ることってないよね。新鮮だね」

と言ってた。

あとバンジージャンプも最近始まったらしく、何人も橋から飛び降りていた。一回14000円かかる。高いな。

やりたくはないけど、飛ぶ人を見るのは面白い。ただバンジーのせいで気が散って、鯉のぼりをじっくり見られない。展望台としての橋とたくさんの鯉のぼりとバンジージャンプ。一貫性がなくてごちゃごちゃしてて、でも人はやたらたくさんいて(主に家族連れとカップル)、ちゃんと観光地っぽくなっている。みんなそれぞれの休日をここで過ごすことに決めたんだな。それをいま楽しんでいるのだ。悪く言うことなんてできない。良い観光地だな。

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夕方、林さんと別れて水戸に戻り、鈴木君と二人で「下市交流会」に出席する。20人ちかい人が来てた。

水戸の駅より南側の一部のエリアを下市といって、そこをより良くするためにどうすればいいかを役所の人やら菓子屋さんやら雑貨屋さんやらとにかくいろんな人で集まって話し合ったりお互いの近況報告をしたりする会。ということみたい。森山さんが僕のことを「(家の)中の人」と紹介してくれて、そしたらほぼ全員が「歩く家」のことを知っていた。写真を求められたりもした。どういうことだ。

みんなちゃんとお互いの話を聞きながら、まちのことを話し合っていて良い場所だなとおもった。月一回でやってて、固定メンバーっぽい人はいるみたいだけど、参加しなくてもいいし、そもそもお互いにすごく気の知れた仲ばかりでもない、初対面どうしの人もたくさんいるような場所。

交流会が解散したあと森山さんに連れられて「カルマ」というインド料理屋さんに行く。カレーがおいしい。

そこのお店の人ふたりは「下市交流会」と聞いて「なにソレ」と言っていた。今日のオチがついた。良いな。

Posted by satoshimurakami