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朝起きてごろごろしてたらおばあちゃんが訪ねてきて
「わたしら稲刈り行くんで、お昼まで帰ってこないです」
と言う。コシヒカリではない、収穫が早い種の稲刈りらしいけど、もうそんな時期かーと思った。しかもその時期の訪れを農家のおばちゃんから聞けるなんて贅沢だな。茨城県の常陸太田市にいるころ、田植えしたばかりの田んぼが奇麗だなあと思った記憶がある。いつのまにか収穫できるまでになってたのか。

お昼頃まで絵を描いたり日記を書いたりして、12時ごろに出発。国道8号線沿いに歩いて燕市の方を目指す。今日も暑い。すぐに汗をかく。歩きながら、これは僕の感覚を僕自身の側に取り戻していく活動だなと思う。僕の肌や耳や目を返せ返せ返せと思いながら歩いてた。なにが悪くて何が良いのかとか、道徳とか、正義とか、下手したら「疲れた」とか「楽しい」とかそういう感覚も社会によって刷り込まれたものだって考えることもできる。だから自分の無意識が一番こわい。僕は僕の生活を送ることによって生まれる疲れならいくらでも我慢できるし、自分が自分に下した命令なら素直に応じることが出来る。

8号線はうるさいので川沿いを歩いてたら、黒い日産のキューブが前に停まって中から良い感じにガサツそうな兄ちゃんがでてきた
「なにやってんすか?!」
って感じのテンション高めで絡んできたので色々説明してたら
「アツいっす!村上さんアツいっす!」
って感じになったので
「今夜の敷地を探してるんですけど、家の敷地とか貸してもらえませんか?」
って聞いたら
「うーん。うちはちょっとなー。どっかあるかな…。もうちょっと歩くと、県央大橋っていう橋の下に広い公園があります。そこならいけると思いますよ。俺らもよく集まってスケボーしたりしてます。」
と言われた。
「とりあえずそこに向かってみます」
と言ったら
「着いたら電話ください!友達も呼ぶんで、今日は宴会しましょう!」
というノリになったのでこっちもなんか楽しくなって。
「あい!」
って感じで、今日は宴会になりそう。彼は何回も
「いやーアツい人会ったなー」
と一人でつぶやいていた。

夕方、その県央大橋に着いた。想像した通りの河川敷にある大きな公園って感じ。さっきの彼に電話したら車で来てくれた。
「風呂おごりますよ!」
ということで家をそこに置いて車で一緒にお風呂に行った。車の中でいろいろ話した。YASSANていうMCネームでフリースタイルのラップもやっているらしく、新潟大会で優勝した経験もあるらしい。僕はヤッサンと呼ぶことにした。絶対年上だと思ってたら、1つ年下だった。彼は僕のことを「アニキ」と呼ぶ。
「平日のこんなときに、とんでもない人と出会っちまったぜ。ラインで仲間に連絡したんすけど、もう呼び名が『村さん』になってますからね!」
と言ってた。とにかく気のいい兄ちゃんだ。実家が歴史のある食品店で、それを継ぐつもりらしい。見た目は赤いキャップ帽を被って髭をはやしてて、しかも口がわるい。近所に良い温泉があると教えてくれた通りすがりのおばあちゃんがいて、その温泉に向かってたんだけど道に迷ってしまって(というか彼は、行ったこともないその温泉に、何も調べずたどり着こうとしていた。もちろん無理だった)
「あのババアまじわけわかんねえこと言いやがって」
とか言う。
「いや、あのおばあさんは全然わるくないでしょ」
と僕が突っ込む。そんな口の悪さなんだけど、絵を描くのも好きだという彼のスケッチブックを見せてもらったら、実家の店のためにつくったロゴみたいな絵がたくさんあった。家のためにいろいろ試行錯誤して絵を描いてるみたい。えらいな。
「ホントは村上さんをうちに泊めたかったんすけど、実は昨日親父とケンカしちゃったんすよ。しょーもないケンカなんですけど。店から家に帰る時、家にいる父親におこわを持っていくように母親に頼まれて。でも返りにコンビニでヤンマガ立ち読みしてたらそのこと全部忘れちまって。家に帰って寝てて、二時間後母親が帰ってきて
『おこわどうした』
って言われて。それで思い出して
『忘れてたー』
っつって。
『なにやってんのよ。車の鍵はどこ?』
て言われて
『二階にある。めんどくせー』
っつったらそこで親父が
『めんどくせえじゃねえだろ!』
て怒ってきたんで
『なに切れてんだよ』
つって逆ギレして。しばらく睨み合いになって。そしたらおばあちゃんの
『速くご飯食べなさいよ』
っていう一言でひとまずおさまったっていう。おこわ事件すよ。そんなことがあったから、家に泊めたいんすけど、ちょっと無理なんす。」
と話してくれた。
「最初村上さん見たとき、24時間テレビ終わったことに気づいてない人がやってんじゃねえかって思って、もう48時間突入すっぞっ感じで」
と、さすがMCやってるだけあって話がうまいしずっと喋ってる。温泉いったあと彼の友達と合流してご飯を食べた。そのあと彼の行きつけのバーにも行った。1時くらいまで飲んでた。バーにはヤッさんの兄ちゃんもいた。その兄ちゃんがまた面白いというか、ヤッサンとのやりとりが漫才みたいですげー兄弟だなと思った。ヤッサンは
「今度一緒になんかやりましょう!」
と言ってくれた。燕市に最高のマイメンができた。夜は河川敷の公園に家を置いて寝た。これは許可をとったとは言いがたいけど。ヤッサン達と出会ったからオールオッケー。

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Posted by satoshimurakami