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一昨日と昨日は金沢で休んで今朝、下柏野町にもどってきた。

お寺のおばちゃんに改めて聞いてみたら、5人じゃなくて7人家族だった。住職さんは顔を見るだけでほっとしちゃうような、すごく人の良さそうなおじちゃん。僕は、独り言を言いまくってる職人さんが御堂の中で作業する近くで絵を描いてた。職人のおじさんは常時「うわ、ここは…やなあ」「よし。これでまた…」なんて言ってて面白い。西に行くほど、関西弁ぽい話し方をする人が増えていく。とても分かりやすい。絵を描いてたらおばちゃんがお茶とお菓子を準備してくれた。

「昨日も葬式で人が出たり入ったりして慌ただしくてなあ。ここのことを村上さんに道ばたで教えたって人と、その話したで」

と言ってた。そういえば18日にも「これからお葬式がある」って言ってた。お葬式ばっかりだな。

 

絵を描き終わったところで独り言の職人さんが

「絵だけ、ちょっと見せてくれるか」

と言ってきた。

「ああ、細かいんやなあ。ありがとう。お名前なんちゅうんやったっけ」

「村上です」

「村上さんな。さとし、やったっけ?」

「え。そうです!さとしです」

「なんか、テレビにもでてたらしいな。ありがとう」

そういえば昨日テレビで紹介されたらしい。僕は見てないけれど。テレビ金沢のウェブサイトを見たら「家男」って紹介されてた。これはまた新しい呼びかたをしてくるなあ。べつにいいんだけど。僕を「家男」と呼ぶことによって、彼らはなにかを隠蔽してるような気がする。「変人」とか「ホームレス」とかって呼んで人を括ることによって、そうやってある種の差別をすることによって何かこころのスイッチを切っている。どこまでいっても他人事なんだろうな。池田卓馬さんが「アーティストが作品つくるのだって余計なお世話ですよ」って言ってたのを思い出した。

 

9時半ごろ出発して引き続き8号線を西に進む。朝から歩くのは久々。朝はあんまり声はかけられない。だいたいお昼以降になって「写真とってもいいですか」とか聞かれる。今日は明らかに年下の男に

「何してんの?写真とらして。ちょっと停まって停まって」

みたいに言われた。なんだこの野郎とおもって中指たてて写ってやろうかと思ったけど家壊されたらやだなと思ってやめた。写真を撮られると撮りかえしたくなる。写真を撮ってるところをこっちから撮りたくなるこの気持ちはなんだろう。撮られると、僕は結構オンラインに「居る」んだぞって言いたくなる。この生活はインターネットがないとできない。発表の場がネット上で作れるからっていう事以上に、精神的な重心をネット上に置けるから、目の前で起こってることに揺るがないようなバランスが保てる。これは大学3年の時に排他的内向馬鹿について書いたレポートと同じ事が起こってるな。この生活の前まではツイッターとかフェイスブックとかに自分の居場所を持っちゃう感じが嫌だったけど、いまはそういう気持ちはほとんどない。身体感覚がアップデートされてる感じ。

 

24キロくらい歩いたところで「平松牧場」っていう看板が国道沿いに出ていた。「milk&dessert」っていう文字につられて入っていった。このへんをグーグルマップで見てみたら面白い住所表記になってた。「分校町」っていう町なんだけど「分校町る」とか「分校町ぬ」とか「分校町タ」とかって書いてある。いろは歌からとってるのかな。牧場に併設されたカフェでソフトクリームを食べて、そのまま敷地交渉してみたら快諾してくれた。

「明日はお休みだから、雨降ったらカフェの軒下使ってください」

って言ってくれた。家を置いて牧場内を散歩したらご近所の家族も遊びに来た。そこの奥さんも

「寒かったら泊まりにきてくださいね!」

って言ってくれた。なんかいい人ばっかりだな。牧場には牛のほかにヤギとかロバとかウサギとか犬とか色々いて楽しい。ヤギがかわいくてたまらん。

 

夜は30分くらい歩いたところにある温泉にいって、国道を歯を磨きながら歩いて帰ってきた。歯を磨きながら国道をあるくのはなんだか刺激的だった。

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Posted by satoshimurakami