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いまはストックホルムの、なんていう名前かわかんないけど結構町中の交差点のそばにあるespresso houseというコーヒーショップでパソコンを開いている。espresso houseはスウェーデンのあちこちにあるチェーン店ぽくて、エーレブルーにもあったけどストックホルムの中にもたくさんある。wifiが使えて電源も使える。今朝7時半のバスでエーレブルーからストックホルムにきた。格安のホステルを2泊とって観光。お昼まではストックホルム近代美術館に行って、草間彌生の個展を見てた。まさかストックホルムで草間作品を見ることになるとは。どうもスウェーデンでは草間彌生が人気らしく、今月末に開催されるstockholm music&artsという音楽フェスにも草間の作品が展示される。近代美術館の個展はそれなりに規模が大きいもので、草間が松本にいた頃(多分22歳~28歳くらい)の水彩作品から、26歳の時にジョージアオキーフに初めて書いた「日本を出たい」という手紙も展示してあり、60年代のハプニング作品とか、さらに最近のアクリルの正方形のペインティングもあった。60年代の映像作品群は、裸の男女がたくさんあつまってお互いの体にペイントしたり音楽で踊ったり、時々セックスしてたりするところも映ってる映像で、ちゃんと草間さんのこういうところも見せていて偉い。松本市美でこういうかたちでコレクションしてほしい。僕が行った時、初期の水彩作品の前では親子向けのレクチャーのようなものが行われてて、絵の前で先生らしき人が、時々子供を名指しして意見を求めながら草間作品を紹介してた。

黒澤さんが「27歳はとっても大事な年齢だ」と言ってたのを草間さんとジョージアオキーフのやり取りをみて思い出した。26歳の時に書かれたであろう草間さんの手紙は「日本ではあなたの作品を面白がるペインターが少ない」「私は日本を出たいんと思っているが、どうしたらいいか」と、かなり切実な内容で、文面から気持ちが痛いくらいに伝わってきた。自分がどこに向かっているのか、何がなんだかわからないけど、とにかく頑張ろうと思う。問題だと感じるもののリアリティは、意外とよそではなく、自分の心の中にある。なぜそれが問題なのかを探るためには、自分の心から探したほうがいい。この自分の心から探すプロセスが人を打つのだと思う。

近代美術館は常設展もけっこう充実してて、百年くらい前の作品から、現代の作家までを年代順に紹介している。日本だと村上三郎とか、河原温とか。素晴らしいのが常設展が入場無料で、さらにThe New Humanというもう一つの企画展も入場無料。こっちの企画展が若い作家の映像作品多めの展示で、政治的な主題が多くて面白かった。Robert Boydという作家のディスコみたいな空間の中で、ミラーボールが回っていて、踊りやすい四つ打ちのエレクトロポップな歌が流れながら、世界の新興宗教の儀式やヒトラーの演説や内戦や紛争やキノコ雲やミサイルのショッキングな映像が流れ続ける。人が撃たれて死ぬ瞬間の映像や虐殺の映像や、かなりえぐいのもある。若干安直じゃないかという感じもするけど、これ以外にやりようがない気もする。後でみたら「ショッキングな映像です」って入り口に書いてあったんだけど気が付かなかった。あとSuperflexの映像も気になった。

そのあとホステルにチェックインして、Yan Restaurantっていう中華料理屋でご飯食べて、でいまはコーヒーショップ。

昨日までのことを書き出しておく。おとといまではずっと制作に没頭してたけど、19日にキュレーターの黒澤さん、アーティストの塩田さんがエーレブルーにやってきて、20日にはOpenArtの関係者がたくさん集まって昼食会があった。湖のほとりの素敵なレストランで、10人以上が集まってご飯を食べたり外でコーヒーを飲みながら喋ったりした。僕のプロジェクトから、ヨーロッパでの移民問題の話になって、エーレブルーの地域性の話になって、とても面白そうだったのだけど、僕は多分4割くらいしか聞き取れてなくて、話すとなると思ってることの1割も伝わらない。とにかく英語はベーシックなものとして使えないと話にならないな。次にエーレブルーに行くまでには自然と話せるように、絶対になってるようにする。考えたら英語の映像が観れたりするようになったらどれだけ広がることか。もう本当にうだうだとやっている場合ではない。21日にはニーナっていうOpenArtスタッフの家でホームパーティーがあるので、そこで家をお披露目するために急いで完成させて、ギリギリに家がほぼ完成して、その後街中を30分ほど歩いて、ホームパーティ会場でみんなにお披露目。ヨーロッパでの最初のwalkingはとても緊張したけど、日本とあまり変わらないなという感じもする。ストックホルムにきてよくわかったけど、エーレブルーは地方都市で、スウェーデンのクリーンな面が強く出ている。なんとなく、松本と似てるかもしれない。ストックホルム-エーレブルー間はバスで2時間半くらい。東京-松本間は3時間くらいで、どっちも同じくらいの料金。ストックホルムはエーレブルーよりもいろいろな人種が町中を歩いていて(近代美術館では日本人の家族連れも見つけた)路上生活者もそれなりにいる。ダークな面もライトな面もよく見える。中心街だと、いきなり家を背負って歩いてる人とすれ違っても東京で見るよりも驚かないかもしれない。上半身裸でリュックを背負って歩いてる人がいたり、なんか不思議な乗り物に乗ってる人がいたり、顔と髪の毛がカラフルな粉だらけになって歩いてる人がいたりする。この感じはエーレブルーにはない。落ち着く。

昨日はお昼まで寝てて、ネットでバスとホステルをとって、夕方に制作場所を掃除して、散歩して1日が終わった。

Posted by satoshimurakami