06052304

毎日せっせと展覧会をみてまわっている。毎日と言ってもまだ2日だけれど。いまヴェニス(マルゲーラ)のホテルのロビーにいる。インターネットが使えるのがこのロビーだけだ。部屋では使えない。VideoNews.comを見ていた。今週は珍しく会員へのプレゼントがあるらしい。応募してみようかと思ったけど、これは「問い合わせ」フォームから応募すればいいのか?わからない。イタリアは、これまでのストックホルム・ベルリン・チューリッヒまでとは随分と気候が違う。蚊に悩ませれている。「蚊がいなくなるスプレー」を持ってくるべきだった。あれの効果は素晴らしい。本当に蚊がいなくなってしまうのだ。でもあれは飛行機に持込めなさそうだ。イタリアは、これが地中海気候というやつか、という感じがする。瀬戸内海とどことなく似ているところがある。湿度が高い。ベルリンもチューリッヒも暑かったけど、乾燥していたので日陰は楽だった。ヴェニスは日陰も時々暑い。あといつも眩しい。目が疲れる。

昨日はビエンナーレのジャルディーニ会場を見た。噂には聞いていたけど、ドイツ館が良かった。ぐっときた。とても混んでいた。40分くらい並んでようやく入った。隣に日本館があるけど、日本館も僕は好きな展示だったけど、ドイツ館に負けてた。うまい具合に対比ができてしまっていた。日本館の作品の「リフレクション」的な、表と裏の二元論が取りこぼしているものをドイツ館は必死にすくい上げようとしているように見えた。ドイツ館は床がガラス張りになっており、観客はそのガラスの上を歩き、ガラスの下をパフォーマーが動き回っているんだけど、そのガラスに観客の「リフレクション」がうつっていた。でも現実には、リフレクションの下にも空間があり、そこで人が動き回っている。強い理性を感じた。とても良かった。あとスイス館も興味深い。彫刻家のジャコメッティの複雑な女性関係を扱い、別の立ち位置からジャコメッティの作品を考える。嫌な過去からは逃げられない。ジャコメッティの作品をチューリッヒでたくさんみたあとだったのでぐっときた。ジャルディーニ会場を一通り見て、帰り際にふらっとジンバブエ館をのぞいた。3階(日本式だと4階か?)に会場があるのだけど、その途中の階段の電気が消えていて真っ暗になっていた。こっちであってるのか?と思いつつ、なんだか前にもこんな経験があるなと思い出し、イタリアではこういうスタイルが普通なのかもしれないと思ってそのままずんずんと進んで行ったら、奥に明るい「ジンバブエ館」の展示室が見えた。そんでぐったり疲れて帰って来た。

初日に続いて、昨日もホテルの一階にあるピザレストランでご飯を食べた。ここにはマジで食べ物はピザしかない。ウエイターの女の子が僕のことを覚えていた。コックも。イタリア人はなんでこんなに人懐っこいんだ。支払いの時に、現金だとすっと終わるが、カードだとレストランにカードリーダーがないのでホテルのレスプションの方まで10秒くらい歩いて行かなくてはならず、それを今日もお願いした。なにしろ手持ちの現金が少なく、引き出す方法もないので。昨日のレセプションにも、初日と同じ調子の良さそうなにいちゃんが立っていた。(ちなみに今日もそいつだ)。彼は、初日で僕の顔を覚えていた。調子よく手でバチっとタッチ的なことを求めてきたので、こっちも返そうとしたら、ふっと手を交わされた。腹が立った。彼も絶対にイタリア人だ。「これぞイタリア人」という感じのふるまいだ。預かったクレジットカードの返し方(ぽいっと投げる)とか、僕が日本人だと言ったら「日本人はリスペクトだ!リスペクト!」と言うので「行ったことある?」と聞いてみたら「ないけどここにいるだけでたくさんの日本人に会える。リスペクトしてるんだ!」という感じとか。調子が良い。同じくレセプションに立っている別のにいちゃんが「日本人はいい。中国人はだめだ。」みたいなことを話してたら突然「あまり喋りすぎるな」と英語で言ったりもする。あれは僕に向かって言ったのか、彼に向かって言ったのか?(たった今、そのもう一人のにいちゃんのほうが、いまロビーを通りかかり、僕に向かって「よう」という感じで手を上げて去って行った。)

今日は、月曜日でビエンナーレ会場は休みなので、アルセナーレ会場を見るのは明日にして、プンタデラドガーナとパラッツォグラッシのデミアン・ハースト展と、エスパスルイヴィトンヴェネチアのピエールユイグと、 Giorgio Cini Foundationのいくつかの展覧会(ヴィックムニーズの展示もやってると書いてあったのだけど、会場がわからなかった)と、Paul Mccarthyともう一人のVRの展示と、それと同じ会場でやってたラウシェンバーグとウォーホルの展示と、Sottsassというガラスなどを扱う作家の展示と、あとIntuition展を見て来た。ハースト展は期待していたけどよくなかった。金のかかった遊びに付き合わされた気がする。作品一つ一つをじっくり見る気が起こらなかった。あのでかいやつとか、どうやって搬入したんだ。Intuitionが素晴らしかった。でも時間がなくて最後流し見になってしまったけど、また会期中にヴェニスに来ることがあればまた見たい。60ユーロ以上する重いカタログを買ってしまった。荷物が増えた。。Sottsassも良かった。グッゲンハイムが時間がなくて見られなかった。しかしぐったりだ。もうシャワーをあびてごろごろして寝たい。

そういえば、昨日明け方4時くらいに一旦目が覚めてしまったのでその時間で「文学的なジャーナル」を読み終えた。一人の人間による、私的なはずの日記が、突然こっちの世界に侵食してくるような、ぞっとする瞬間がいくつかある。面白い。これはB&BのTさんに勧められて買った本だ。いまは小川さやかの「その日暮らしの人類学」を読み始めるところだ。こっちは池澤さんがくれた本だ。

明日はアルセナーレをみて、明後日までに撮影(一人だ。。)をやるのはいいとして、明後日どこにいこうかまよっている。パンニーニのサン・ピエトロ大聖堂がすごかったので、ローマにいって実物を見ようか、あるいはパリにいってルーヴル美術館で他のパンニーニ作品を見ようか。あるいはどっちも行ってしまおうか。ロンドンも行きたい。しかし時間はもうそんなにないぞ。と、いまルーヴル美術館公式ウェブサイトから調べてみたらなんとパンニーニ作品は一つしかなかった。どういうことだ。こういうときどこを調べればいいんだ。

Posted by satoshimurakami