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タケルくんの家はいつもとても早起きらしく、僕が泊まっている部屋にも6時半ごろに朝ごはん(ナスやベーコンなどの炒め物とご飯、バナナ、ヨーグルトなど)が運ばれてきた。でも僕はまた寝てしまい、7時半ごろに起きてそれを食べさせていただく。お母さんは二人の子供も相手にしながら同時になんかいろいろやっている。偉大だ・・。

タケルくんのお母さんは「僕が食べるものがご当地かどうか、観光しているかどうか」をしきりに気にしていたのだけど、そんなお母さんが「これはご当地なので」と言っていた、自転車のイラストや、だんじり祭りの山車のイラストが描かれたクッキーなどが入ったお菓子詰め合わせの小袋をもらってタケル家を8時15分には出発。車でにじのとしょかんまでおくってもらう。にじのとしょかんで、釜山の滞在中に完成させられなかった絵を一枚完成させ、11時半ごろに家とともににじのとしょかんを出発、職員の方が二人見送ってくれた。

とりあえず北の方を目指して30号線を歩く。東京は涼しい日だったらしいけど大阪は先日と変わらず暑く、コンビニや自動販売機で麦茶を買いながら(たぶん2,3リットル飲んだ)歩く。ここから金沢まで到達しなければいけない。8月中には。間に合うのか?あんまりのんびり進んでられないので1日最低でも15キロは進めようと思う。久々の長距離で、疲れるけれど釜山で言葉が通じない人々の間を歩いて3週間過ごしたのは経験としてやはり大きく、日本で家を背負って歩くことに対する抵抗というか恥じらいというかそういうものはほとんど感じなかった。

途中のイトーヨーカドー津久野店で昼飯。昔イトーヨーカドーの駐輪場に家を置いてご飯を買って帰ってきたら警備の人に「ここはこのような建築物を置くところではないので」と言われたことがあったのを思い出し、家は歩道に置いて店内に入った。スーパーできゅうりの浅漬けと野菜ジュースとチャーハン餃子弁当。ここはテーブルや椅子が店内に散りばめられていて助かる。7スポットWiFiもある。

ご飯を食べて、すこしルートを西にそらせて北加賀屋の工場地帯にあるdot architectsの事務所を目指して歩き始めた。むかし大阪のトークイベントでdotの家成さんとお話したあと泊まる場所がなくて家成さんがここを紹介してくれて一泊させてもらったことがある。駐車場があった覚えがある。家成さんならダメとは言わないだろう。。家成さんに電話を入れてみたけど繋がらず、とりあえず突入することにする。最悪、誰もいなくて後から誰かきてもあそこなら大丈夫な気がする。

にじのとしょかんからdotの事務所まで16キロを歩いて、夕方5時前に到着。事務所には人がたくさんいた。お盆の日曜なのにやはり彼らは違う・・。家成さんもいて、泊まることを快諾してくれた。dotの土井さんが「口の中の水分が全て持っていかれるマフィン」をくれた。口の中の水分は全て持っていかれた。dot事務所はおそらく工場だった建物を使って1回を作業場、2回の仕切られた部屋を事務所としており、家成さんはその事務所の部屋使ってもいいと言ってくれ、鍵の開け方などを教えてくれ、僕は今日のオフィスを確保できた。そのオフィスでこの日記を書いている。パソコンはWiFiに繋がっているので金沢の展示のための地図をつくる作業もできる。

家成さんは、そのとき打ち合わせのために来ていたお客さんに僕のことを紹介してくれたのだけど、家の説明のすぐ後に「村上さんのドローイングも良いんですよ」と付け加えてくれたのが嬉しかった。さらに家についても「マジックでこの黒い輪郭線を描いてるのがとてもいいなと思ったんですよ」と言っていた。そのさりげないけど嬉しい言葉の付け加えに、彼の人柄とキャリアを強く感じた。建築事務所をやり、作品をつくっている人という感じ。

この事務所と同じ敷地にある建物には人が住んでいるらしく、土井さんがその人たちにも伝えておきます、びっくりしないように、と言ってくれたのだけど、僕の「(その人たちは)”一般人”ですか?」という問いに対して土井さんが「いや、リテラシーは高いです」と返してくれ、僕と彼の間で何かが通じ合ったような気がした。

夕方6時前にはdotの人たちが事務所をさり、僕はすこし絵を描いてからお風呂へ。すぐ近くに「くつろぎの湯 湯楽」というスーパー銭湯温泉がある。休日料金で770円。お盆なこともあってか、大変混み合っていた。夏場でもお風呂に入るのは大切だ。疲れの取れ方が違う。体の中身が温まる。

お風呂から上がった後、近くのローソンで、先日掛川自動車学校を紹介した特典でもらったクオカードをつかってサッポロ黒ラベルの缶ビールを買ってふらふらした。完全に車のために作られたバイパスの、車向けに作られた大きな中古車買取の看板の下で、缶ビールをのみながら次々走り去っていく車をぼーっとながめる。他に歩いている人はいない。自転車は少しいるけど、通り過ぎていくだけだ。”通り道”としての場所に留まっている。時速50キロで一瞬だけ視界に入れられることの多い看板を、立ち止まってじっくり眺めたりする。

晩御飯は「杵屋麦丸」で牛ぶっかけうどんを食べた。

この敷地は自販機がすぐそばにあり、水分補給には便利だ。向かいの公園には「セアカゴケグモに注意」の看板があった。

そして季節柄かわからないけど道路上に大きめのゴキブリをたくさん見かけ、嫌だなと思ってたけど家で寝袋をひろげて眠る準備をして、事務所のトイレで歯を磨いたあと、ついに僕の家から50センチくらいのところでゴキブリが動いているのを見つけてしまい、寝袋とマットを家から引きずり出して2階の事務所まで行き、鍵を開けて入り、床にマットと寝袋を敷いて眠った。こっそりとタイマー付きでエアコンのスイッチも入れた。

Posted by satoshimurakami