三宅島にはかつて、天草が豊富にとれる海があったらしい。
しかし2000年の大噴火で、海底にマグマが流れ込み、地形が変わったので、ほとんどとれなくなってしまった。魚の漁獲量も減った。
でもそのマグマのおかげで、海底には面白い地形が新しく出来上がった。それによって、観光スポットとしてのダイビングスポットがいくつも形成された。
かつて天草で生計をたてていた多くの人は、今では観光客向けの仕事をして生計を立てている。民宿やイルカのインストラクターなどがある。
島の環境が変わって、島民はいままでと同じ方法では生きていけなくなった。変わらなくてはいけなかった。そしてものの見方を反転して、悲劇を好機に変えて、生きる術を獲得した。そのきっかけとなったのが、ある一人の外国人の生物学者と、観光客だった。という事実が、僕にとってはとても大事なストーリーだった。

この一年はいろんな事があったな。僕は去年大学を卒業して、とりあえず作家活動をする事にして、浅草で友達四人とアトリエを探して、3月11日に契約した。そのすぐ後にあの地震が起こった。地震は怖くて、日本で大変な事が起こっていることはニュースでなんとなく分かっていた。知っていた。事実として知ってはいたけど、僕たちは4月までは自分たちのアトリエ兼住居を改修するので頭がいっぱいだった。余震が続くなか、僕たちは引っ越し作業を続けた。友達を呼んで、ペンキ塗りを手伝ってもらったりもした。そして4月10日、アトリエをオープンさせた。オープンさせたあと、僕たちはニュースをあらためて眺めた。眺めて、某然としてしまったんだと思う。なんだか「乗り遅れてしまった」というか。一ヶ月改修でバタバタして、冷静にまわりを見られてなかったところから、ふと我に帰ったような感じ。
そして「引っ越しと定住を繰り返す生活(仮)」をやった。
この一年僕はいろんな人と出会った。東京で、奈良で、三宅島で、香川で、東北で、新潟で、茨城で、、。この一年で出会った人たちは、たぶんこれからも、僕の人生にとってかけがえのない存在になっていくだろう。僕はこの一年を、「かなしい」とか、「たのしい」とかいうふうに簡単にくくることはできない。

3月11日」と言っても何もピンと来ないような世界を想像してみる。

コニカミノルタの「エコ&アートアワード」という公募展に出品して、まわりの作品見て思ったんだけど、みんな、今のこの毎日が、この先もずっと続いて、来年も、再来年も、コンセントにプラグをさせば電気が来るし、蛇口を捻れば水道が出ると思ってる。そういう前提でものを作って、デザインとかアートと呼ばれているものは、そんな生活のアクセントで、なにかの「考えるきっかけ」になればいいと思ってる。「きっかけになるように促しました」というポーズをとって、満足してる。で、それを見る方は見る方で、表現の、うわべだけなぞって「ほほう」と思ったら、「良い」と評価する。それで「良いものみたね」と思って、家に帰って、「良いものみました」という感想を、ツイッターとか、ブログに書いたりしてる。やばいよ。。気持ち悪いよ。
僕がいま暮らしているアトリエの土地の地盤はゆるくて、近くの道路をトラックが通ると震度1~2くらいの揺れがおこるから、まるで船の上で生活してるような気持ちになる。そういう環境で生活してて、地面て簡単に揺れるものなんだな、と日頃から思ってるってこともあるかもしれないけど、この、確固たるものだと思っていた地面が、こんなにも簡単に揺れたり、それが原因で津波が起こって、原発が爆発したりする。そんな体験をしながらもまだ、この先も、今まで通りのやり方で生きていけると思っている。
大きな変化が、近い未来必ず来る。それこそ、誰もが「ここだ」と思えるような、大きな変化の時が必ず来る。だから、今の基盤が崩れても生きていけるように備えるための実験を、いまからやっておかないと、そういうことを考えているクリエイター達は、現代の基盤が崩れた時のことを考えて表現する責任があるように思う。

このライブ音源すごく好きで何度も観るんだけど、映像の中で、ボーカルのポールウェラーのまわりだけ風が吹いてるような感じとか、彼のギターや声が、まだまだ彼の体の内部からの衝動に追いついてないような感じ!!!!!!かっこいい!!!!!何度見ても鳥肌がたつの。この時ポールウェラーは24歳!!!!!
セックスピストルズがイギリスでパンクムーブメントを牽引していたときに、ポールウェラー率いるバンドthe jamは77年に「in the city」ていうアルバムでデビューした。ほぼ全ての曲が2~3分で、ライブ音源をそのまま録音したような音は今聞いても全く古くなってない!!!!!!凄い!!!!
しかも、当時ポールウェラーはまだ19歳!!!!!!!19歳だよ。
19歳のとき、僕や、僕の周りに居た人間は、親の援助を受けて、大学1年生でぼーっとして、彼女ほしいーなんて言ってたり、大学に入学したくて予備校に通ってたり。ある人は、地元のエレベーター修理会社に勤めてたりしてた。社会に対しての不満なんてほとんど感じてなくて、思考停止状態で、ものごとに対する感度のことなんて考えたことも無かった。これが、最近、ようやくヤバいと思いはじめた。このままだと、ただの、名前の無い1個人で終わってしまうぞと思いはじめた。
まあそれは置いといて、The Jamが80年にだしたシングルが「Going Underground」ていう曲なんだけど、この曲の冒頭部分の歌詞が
Some people might say my life is in a rut,
But I’m quite happy with what I got
People might say that I should strive for more,
But I’m so happy I can’t see the point.
ある奴らは、お前の生き方は決まりきっていてつまらないと言ってくる
でも、僕は今のままでとても幸せなんだ
人は僕にもっともっと努力しろと言ってくる
でも僕は今幸せで、奴らの言ってることが分からない
And the public gets what the public wants
But I want nothing this society’s got
I’m going underground
大衆は、大衆が求める通りのものに変化していく
でも僕が欲しい物はこの社会には無いんだ
僕はアンダーグラウンドを行くよ
このリリース時は、既にセックスピストルズが解散していて当時のイギリスのパンクムーブメントはかつての勢いを失っていたようなんだけど、そんななか、世間の時間軸とはちょっとズレたタイミングで、The Jamは最高の名曲をリリースした!!!!!!!かっこいい!!!!!!!!
このときポールウェラーは22歳。僕はいま23歳ですが、僕もはやく「And the public gets what the public wants」みたいな言い回しができるような人になりたい。なんか、そういう感じになりたい。当時のポールウェラーに憧れ。