06050805
大町の家には図書室がある。最近忙しすぎるというのもあって、あまり使わなくなってきた。子供がいたら違うだろうな、という予感がある。あるいは、親が同居していたら今よりも使いそうだ。図書室というものは「外側」にあるものかもしれない。私的な、「本の部屋とそれ以外とを分けたい」という欲望ではなく、私以外の人が本にアクセスしやすい場所をつくりたい、という善の力のおかげで存在しているのかもしれない。そしてその結果生じた図書室という現実空間に「自分の部屋ではないので普段はいない」という理由によって、アクセスしにくくなっている。人がいたら、自分ももうすこしそこに行くような気がする。証拠として、私の家族が泊まりにきた時、みんな暇になると図書室に行くので、私もつられた。つまり図書室がその力をより強く発揮するためには、自分と同居人の他に、三番目の人間がいるといいのかもしれない。図書室というものは公的な場所なので、自分の家という私的な領域の中では存在が後ろに隠れてしまう。