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私はたぶんすごく天邪鬼かつ頑固で、人にアドバイスされるのもアドバイスするのも得意じゃなくて、誰かにこうしたほうがいいと言われたことを(それが一般的によいことだとされていても)すぐに実行に移すことに、すごーく抵抗を感じてしまう。それはもう生理的なレベルで、病的に、反射的に、どうしようもなく無理になってしまう。でもそれだけでは誰かと共同生活を送ることはできないから、私はたぶん、ある技を使っている。
その助言が、大事な人や信頼できる人からだったり、内容が多少なりとも納得のいくものだった場合、数日かけて吟味して、それを「自分で決めたことにして実行する」という技である。相手からすれば助言したことを自分の手柄にされかねない行為で、ひどい話だ。しかも私はそれを実行する頃にはもう、自分で決めたことだと本当に思い込んでいるので、自分の支離滅裂さにも気がついていない。まったくどうしようもない野郎だが、そうやって自分を騙していかないといつまでも永遠に人の話を聞かないのでそれよりはマシなんじゃないかと。
もし「同居人が最初は自分の言うことを全然聞かないのに数日経っていきなり言った通りのことをやり始めてしかも自分の思いつきみたいに捉えてて、意味わかんない」という悩みを抱えている人がいたら、その相手はもしかしたらこれと似たような思考回路かもしれない。
私はこれをニーチェから学んでしまった。『ツァラトゥストラ』に「なにか嫌なことが起きても、「私が望んだのだ!」と言え!その事態を自分で選んだことにしろ」みたいなことが書いてあったのだ。これはまさに神を殺した思考回路である。
私の場合、この回路に加えて「私は頑固だけど、『自分がいつまでも頑固であること』を、天邪鬼としての自分は嫌がっている」という、とても捻れた構造も関わっているかも。