完璧な人間

「完璧な人間はいない」という言葉、いまでもたまに聞くような気がするし、自分も使ってしまいそうな場面はあるけど、考えてみれば暴力的な表現かもしれない。単線的に時間が進む進歩史観的な前提で、完璧な人間とそうでない人間がいるということを暗に認めてしまっている。キリスト教でいうところの原罪的な匂いもする。
人間はみな不完全なので、完璧を目指すべきだ。それも、全員に共通する完璧をだ。ということだと思うけど、それは全体主義に通じている。私たちはそれぞれに独立した存在で、お互いを比べることなどまったく不可能であり、私たちに共通する指標など1ミリも存在しない、という前提に立たなければ幸せにはなれない。人はみな違う人生を生きているので、どの時点で切り取っても、私はその瞬間での最高得点100パーセントな存在なので、別の人生を生きている人間が、私を完璧かどうかなんて判断することはできない。

Posted by satoshimurakami