03202024
AIR475で米子市に滞在中。すごいものを目撃した。「フィメール・ラップ SAN-IN 2025 ラップライブ My Rhyme, My Rights」。衝撃的なイベントだった。
キュレーターの岡田有美子さんらが始めた"フィメールラップサークル"によるライブイベント。経緯としては、もともと岡田さんらが「持続可能なアート活動のために -鳥取の個人的な芸術と労働についての話を収集する」という、鳥取県内でアート活動に従事する人々への非公開インタビューを通したリサーチを行っていて、その結果、さまざまなレベルで女性が搾取され、ハラスメントを受けているという現状が浮き彫りになったが、プライバシーの問題でその内容を公開することができないという問題が同時に浮上し、どうすればいまの現状を共有できるのか考えた結果、ラップにすることを思いついたところから始まっているらしい(岡田さんはヒップホップ好き)。リサーチをもとに書かれたリリックはhttps://drive.google.com/file/d/1lqK-1hmNAdaFjwdeOWqlPxi_-Wn5x5Bq/view?usp=drive_link に載っている。
これをきっかけに、ラップを通して女性同士でつながるサークル活動が行われているっぽい。
今回は4人のメンバー(あだちりつこ、岡田有美子、福間久美子、水田美世(Mi-mi Blaze))が出演(イベントには水田さんが誘ってくれた。ほんとうにありがたいお誘いだった)。それぞれの生活のなかで感じている不満、鬱憤、違和感を歌詞にして、ビートに乗せて歌っていた。みんな「ラップなんてやったことない」らしいけれど、リリックを書かせればいくらでも出てくる。育児、労働、介護、家事、男女格差、無自覚なバイアス……素材は生活のなかに無限にある。「わたし おまえのママじゃない(元夫に対して)」「噂に生きるの痛いから」「きみはほんとに寝るのが下手」「エンドレスケア ケアケアケア ケア輪廻」「褒めて欲しいのそこじゃない」「自分を後回しにする癖」「ゴミ出しはボランティアですか?」「私の仕事を認めてほしい」「てかもう 私の仕事を認めなくて 良い てゆうか お前誰?」重たいパンチラインがどんどん出てくる。むしろ逆に、四人のつたなさがリリックの切実さを引き立たせていて、こういう形で人は集まることができるのかという、現場の空気感への感動(傷の舐め合いのためではなく、社会によって自分を変えられないために抵抗し、みんなで元気になるために、ラップの力を借りる)もあり、泣きそうになってしまった。不条理を感じたとき、やんわりと差別を受けたとき、傷ついたとき、誰だってラッパーになれる。「私にだって歌いたいことがある」という、希望のエネルギーに満ちていた。個人的にはMi-mi Blazeの「「家ではやらないんですけどね」またはSDGs」という歌が刺さった。