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ここ2〜3年のことだと思うけれど、ChatGPTを皮切りにAIの普及がすさまじく、うかうかしているとこのダイナミックな感覚も忘れて当たり前の存在になってしまいそうなので現時点の感触を書き残しておく。

AIという概念はそうとう前からみんな知っていて、いつかはAIが人間の仕事を奪うなんてことも囁かれていたけれど、それが具体的にどう言った形でやってくるのかは、多くの人はイメージできてなかったのと思う。そこにchatGPTがリリースされた。そうか、ただ会話ができるというシンプルなことが、こんなに力を持つのか。AIの普及は人間との会話から始まるのかと思った。僕もリリースされてすぐに興味本位で触ってみた。この頃chatGPTと交わした会話でよく覚えているのが「石とiPhoneの違いについて教えてください」という質問からはじまるやりとり。

 

「石とiPhoneの違いを教えてください。」

 

『石とiPhoneの違いは以下のような点が挙げられます。

役割:石は一般的に建物や道路などの建設材料や彫刻などの芸術作品の素材として使われる一方、iPhoneはスマートフォンとして情報のやり取りやコミュニケーションなどの機能を提供するために使われます。

物質:石は天然の鉱物であり、地球上に広く存在する一方、iPhoneは人工的に作られた製品で、金属やプラスチックなどの素材が使われています。

形状:石は天然の形状を持っている場合が多い一方、iPhoneは正確に加工された形状を持っています。

機能:石にはほとんど機能がない一方、iPhoneには電話、メッセージ、インターネット、写真撮影など多くの機能があります。

価格:石は一般的に比較的安価な一方、iPhoneは高価です。

これらの違いから、石とiPhoneは役割、物質、形状、機能、価格などにおいて大きく異なることがわかります。』

 

「なるほど。よくわかりました。では、石をiPhoneとして使うことはできないということですね?」

 

『そうです、石をiPhoneとして使うことはできません。石は情報を処理することができず、電話やインターネットにアクセスすることもできません。一方、iPhoneは高度に技術的に進化した電子デバイスであり、情報の処理や通信機能を備えています。また、石は硬い素材であり、iPhoneの画面などに使われているガラスやプラスチックと比べて非常に傷つきやすく、損傷を受ける可能性が高いため、同じように使うこともできません。』

 

「逆に、iPhoneを石として使うのは、どのような場合が考えられますか?」

 

『iPhoneを石として使うことはできません。iPhoneは高度に技術的に進化した電子デバイスであり、情報の処理や通信機能を備えています。そのため、石と同じように建設や芸術作品の素材として使うことはできません。また、iPhoneは比較的脆い素材でできており、割れたり傷ついたりしやすいため、石と同じように丈夫であるという点でも使い方が異なります。したがって、iPhoneを石として使うことはできません。』

 

冗談のような問いかけに対して大真面目に答えてくれるのがおもしろくて、なにより「機械的」だと感じた。ただ、iPhoneを石として使うことはできないと断定してしまうあたりが、AIの限界なのだなとこの時は思った。加えて、特定の人物や事件について尋ねてみると、かなり的外れというか、平気で嘘をついてくるので、特に使い途はないなと思い、それからしばらく触ってなかった。

2023年か2024年あたりに性能が大幅に上がっていると言う噂を耳にして、僕も去年くらいからぼちぼち使い始めた。箇条書きのような形で書き殴ったバラバラの文章をひとつらなりの文章にするのが上手くて、また僕一人では思いつかない語彙を投げてくれるので、企画書をまとめるときなどに使うようになった。

僕の周りだけでもchatGPTだけでなくさまざまなAIの有料版を使っている人が増えている。一方で、できるだけ使わないように抵抗している人も一定数いるように思う。僕のなかにもできるだけ使いたくない、という感触はまだ残っている。電力による環境負荷のこともあるし、自分が情報、文章を打ち込むことで別の誰かに使われてしまうということへの抵抗感もあるけれど、一番は悔しさだと思う。たしかにAIはすぐに文章をまとめてくれるし語彙も豊富だけれど、それを提示されたときに最初に感じるのは「すげえ〜」よりも前の「ああ、その手があったかあ」という悔しさである。多少効率が悪くても、時間をかけて自分の頭から絞り出したいと思う。そちらの方が自分の血肉になると思っている。「効率」という考え方そのものへの抵抗でもある。でもこの事態が進めばやがて「血肉」とはなんなのかという問いにぶつかるだろう。いまよりももっともっと身近になり、あらゆる情報を瞬時にネットワーク上から引き出せるようになった人間同士のコミュニケーション。これはこれでディストピアとして考えてみても面白そう。

Posted by satoshimurakami