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周防花岡駅の駅舎がよかった。木造のかわいらしい駅舎で、目の前に大きな木(ヒマラヤスギらしい)があって、それが建物と一緒に歴史を刻んでいるようで見ていてなぜか嬉しくなった。駅には高校生がたくさん(なぜかみんな女の子だった)いて賑やかで、「~ちゃん、いる?」と窓の外から駅の中にむかって声をかけた生徒がいて「いるよー」と中の生徒が外に向かって返事をしたら「おめでとう~!」と外の生徒が答えた。それをうけて中の生徒が「ありがとうございます!」と返事をしていた。何がおめでたかったのかはわからなかった。
あちこちの家と家のあいだに田んぼがあるのも良かったし、西日をうけた家を水面に反転させて写していたのも綺麗だった。その田んぼの細いあぜ道を、小さな子供3人組が列になって歩いているのも良かった。他にも町には大きな木がたくさんあって、歴史がちゃんと積み重なっているようだった。まちの「共同性」みたいなものは、町に宿る空気のようなもので、それがあるところは自然とすれ違うときに、相手が知らない人でも挨拶をしようと思えるし、挨拶をした瞬間に、挨拶をしたという些細な事の大きさを遥かに超えるおおきな物が生まれるような気がする。花岡八幡宮もよかった。何かいた。
この生活は考えるための現場のようなものにもなっている。絵を気軽に描くようになったし、写真も撮るようになってきた。これがいいことなのか悪いことなのかはわからない。もっと写真やテキストや映像や集めた物を使って、この現場をすくいあげるような展示ができるかもしれない。
花岡を11時頃に出てさらに西へ。もう「どこまでいくんですか」と道端で聞かれても「西へ行きます」としか答えないようにしている。途中、スポーツドリンクの差し入れを頂きながら20キロくらい歩いて戸田(へた)という町についた。「ソローネ周南」という道の駅の事務所でお姉さんに敷地を交渉してみたら「いいと思います」とさらっと言ってくれて、今日の敷地が決まった。道の駅なのでトイレと洗面台はある。コンビニもある。(ATMもコピー機もある)。ただしお風呂場が近くにない。だからまた電車を使った。
戸田駅から山陽本線(この路線は岩徳線よりも本数が多いし、ワンマンじゃない。1時間に1,2本くらい)に乗って2駅のところにある新南陽駅から歩いて5分くらいの梅の湯という、これまた昨日に引き続き古いお風呂場。僕の他はみんな常連さんだった。夕食前だからだと思うけど、みんなお風呂に入ってる時間が短い。僕よりあとに来て僕より先に風呂場から出て行ったおじさんもいた。
上半身裸のまま町にでていくおじさんもいる。風呂場から出たあとの夜風が最高で、こんなに夜風が気持ち良いこともなかなかない。気持ち良いというだけじゃなんかものたりなくて、もっと町と一体になってる感じがするというか、僕のからだと町が何かをやりとりしているというか。初めて来た町で昔からやってる銭湯に入ったあとに感じる夜風は良いということかもしれない。