7月18日22時6分

酒の席で男の友人が、彼に特有のユーモラスな雰囲気を湛えながら、しかし皮肉っぽく、あるアーティストのことを「フェミニストでしょ?」と言った。僕からすれば彼ほどフェミニスト的な態度を大事にしている人も珍しいと思うのだが、人をなにかで定義することの怖さや、それでこぼれ落ちてしまうものに対する愛が彼の中に強くあるので、そう名乗っている人に対してなにか思うところがあるのだろう。その言葉はある種のボケとして機能し、ボールは我々に投げかけられていた。いま思えば、あの問いに対してどう答えるかは、ささやかながらも大事な瞬間だった。僕は「フェミニストなのかなあ」と言ってしまった。口にしてすぐに、なにか別のことを言うべきだったと思ったが、かなり酔っ払っていたのでそれ以上考えは進まなかった。それからもう一人の友人が、「フェミニストでしょ」と断言し、「俺もフェミニストだから」と付け加えたのだ。しびれた。「私はフェミニストです」という文章は、「私は日本人です」に近い違和感があるにはあるのだけど、たぶんいまはそこで立ち止まっていいフェーズではなく、どんどん使って、もっともっと軽い宣言にしていったほうがいいんだろうということは、わかる。自分もそう明言できる人間になりたいと思った。次からはもう、ひとまずそう名乗ることに決めた。

Posted by satoshimurakami