9月17日8時50分

あるアーティストの手伝いで、数人で川に流木を集めに行った。広々とした川辺に、見渡す限り大小さまざまな流木が流れついていて、なかなかすさまじい光景だったのだけど、そのアーティストが、拾った流木を、持ってきた段ボールの箱に合わせてぽきぽき折りながら入れていた。
おれは「折るんかい!」とおもった。「流木はすべてを知っている」と言い、現地の土や泥で「精霊」をつくると宣言して、わざわざ流木を集めに行った先で、物体の規格化の権化みたいなダンボールという箱の大きさに合わせて、流木を手で折るという暴挙。しかしそれを指摘する人はほぼおらず、ぼくも口に出せなかった。機会があれば本人に聞いてみたいけど、流木についてどう思っているのか。流木には長い時間が刻まれていて、その形、色、表面の滑らかさにはそれが刻まれている。その力を借りたいと思ったから流木を集めに行ったのではないのか。段ボールに合わせて折られた流木ははたして流木なのか。

Posted by satoshimurakami