1月13日

母親が、寒いのだか汗をかくのだかで、温かい蒸しタオルを欲していたので、実家でタオルを2枚ほど濡らして、父親と一緒に電子レンジにかけて(レンジは何故か2つあり、ひとつは昔から実家でつかっていた古びたやつで、もうひとつは製造年はもっと古そうな、外装が木製の、大きなオーブンみたいなレンジだった)、タオルを温めて母親に渡したのだけど、すぐに冷めてしまって、これだと冷たくて嫌だよなと思ったりしたところで目が覚め、朝の5時半。

夕方、カゲヤマ気象台演出の『クワッド』(ベケット)を早稲田大学の「隈裏びらき」関連イベントで観た。ざっくり前半と後半に分かれていて、現場での上演ののち、おなじ動きを屋外でやっているところをドローンで上空から撮影した映像が投影されていた。普段はあれこれ考えながら生活しているぶん、ルールに従って動いていればよい、それだけやっていればよいのだと、心から思える幸福な時間、満ち足りた時間ってあるよなと思った。前半は反復の中にも生まれる微妙な差異とか、役者の表情が見えるので人間がそこにいるのだと思えるのだけど、ドローンの映像は広島の平和資料館で見た原爆投下の照準に見えた。人間の顔が消えて、個性が消えて、データになる感じがした、と思っていたのだけど、同時に不思議なことに、上空からの映像の方が、かえって四人の人間が「無邪気に遊んでいる」ように見えなくもない。
クワッドは「自分の手でひとつひとつ可能性を潰していくこと」でもあることを考えると、支配的な、人間を否定するような感じがするけど、同時に遊んでいるようにも見える。ベケットを研究したがる人が多いのも納得できるなと。

 

Posted by satoshimurakami