作品素材を買うためにホームセンターに行ったら、何人か、普段ホームセンターではみないような、春に似合う洒落た服をきて、綺麗な色合いのバッグを肩から下げた、若い女性の一人客がいて、もしかしたら、外出する予定がないから、ちょっとした買い物にも服に気を使っているのか。こういうお出かけ先があるのは、みんなにとって良かったなと思った。

小さい頃の記憶、祖父がテレビのリモコンを握っていてNHKから他の局にはチャンネルを変えられなかった家庭の空気感がいつから変わったのか考えてみたら、父親と祖父とのちょっとした口論の記憶にあたった。確か、僕がなにかおもちゃのようなもので遊んでいるときに弟がそれを取り、取り合いになり、喧嘩になっただけど、父の「先に遊んでた方に権利がある」という主張と、祖父の「お兄さんなんだから譲るべきだ」という主張がぶつかった。あの価値観のぶつかり。あれは時代の移り変わりが端的に表れていたかもしれん。

COCK ROACHの4枚目のアルバムMother。ひさびさにこのバンドを聞いて、歌詞を追いながら聞いてたら気がついたらアルバムが終わっているみたいな体験の懐かしさ。特に二曲目のMotherが凄い

生き死にを繰り返し

辿り着いた街の

真ん中に聳え立つ

巨大なる母神像は

 

総てを閉じ込めた

蒼く澄んだ瞳

これがこのアルバムを表してるようだった。生き死にの繰り返しというのは、COCK ROACHを聞いてきて感じたことだった。死を歌った1枚目と、生きる欲望を歌った2枚目と、命を歌った3枚目、そして「母」について歌ったこの4枚目。

芸術が生活に必要かみたいな質問は、ドリアンは生活に必要かとか、秋刀魚は生活に必要かとか、マグロは生活に必要だけどサバは必要ではないとか、そういうことを考えるのと同じくらい意味がない。

数日前東京に大雪が降った日は桜も満開で、雪と桜といったらCOCK ROACHの赤道歩行だろうと思って久々に聞いてグッときて、それ以来よく聞いているのだけどさっき彼らのことを調べたらなんと昨年秋に再結成していて、4枚目のフルアルバムを出していた。すぐ調べたがどこで買えるのかわからなくて、applemusicにはもちろんないし、タワレコとかアマゾンのサイトを見ても売ってなくて、一瞬困ったが彼らのウェブサイトに行ったら直取引の通販のみでCDを販売していた。あんまり買えないCDを足と電話で探してどうにか買っていた高校時代を思い出した。受注生産で希望者は誰でも買えるとのことだったけれど、今年の11月には一旦生産を中止するらしい。速攻で注文した。こんなに躊躇なく買い物をしたのは久しぶりだ。3000円だったけど、なんて安いんだと思った。こんなに安くていいのかと。彼らの新作だったら3万円でも買いたい。