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昨日の約束どおり今日はハーレーのサイドカーに乗っけてもらって、ハーレー会のツーリングに連れて行ってもらった。記念写真も撮ってくれた。もうわけがわからないな。

ハーレーのエンジン音は大きいんだけど、音に余裕があってかっこいい。福島県はバイク乗りが多いらしく、ツーリング中も何回か大型バイクの集団とすれ違った。すれ違う時に軽く手を挙げて挨拶をすることがあるんだけど、基本的に向こうがしない限りこっちからはしない。でも向こうがしたらこっちも返す。何かに似てる。僕を乗っけてくれたおじちゃんは80歳だったんだけど信じられないくらい元気で、攻撃的な運転をするのですこしひやひやした。車間距離が近いのだ。信号待ちのときなんか50センチくらいまで近づくし前の車が遅い時は3メートルくらいまで近づく。でもそんなおじちゃんが口癖のように言う「まあいろんな生活があるよ」とか「人それぞれの生き方があるよ」っていうセリフが良かった。

ツーリングの最中に山奥にある美味しいそば屋さん(もう蝉が鳴いていた)にいって、そこで山菜の天ぷらを食べる時に線量大丈夫かなとか、ちょっと気にしてしまう。そういえばそのおじちゃんたちが住んでいる家のあたりは線量が高いらしい。家の庭は全部5センチくらい掘って除染して、その土は庭の下に埋めてある。業者が3年後に取りにくると言っていたけど絶対こないだろう。って言ってた。

サイドカーは地面との距離が近いので、走っているスピードの速さがよくわかる。5分もあればアスファルトで大根おろしが何十本も作れるなと思った。「速さ」が心に与える影響についてずっと考えていた。速く移動しているといくら地面に近くても、路上に咲いている花をみて「きれいだなあ」とか思うことはできない。80キロで走りながら路上に咲いているタンポポをみて「きれいだなあ」って思おうとしたけどうまくいかなかった。また、途中釣竿を持って歩道を歩いてるおじさんを追い越したんだけど、そのおじさんと僕とではスピードとか時間の感じ方の落差がとても大きいんだろうなと思う。速く移動しすぎると花や木や虫を愛でたりする事ができなくなる。あたりまえだけど。

でもそんなスピードで橋やトンネルを通り過ぎ、山から山へなるべく高度差のないように作られた道路を走り抜ける時のダイナミックな感動はまた別にある。

 

絵を描くことはとめてはいけないけど移動しない日があるのはあんまり問題じゃない。毎日移動してるものと思い込まれることが多いけど「いつも動いている」か「ずっと動かない」の2択じゃないはずだ。

 

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途中寄った喫茶店で「BOSS HOSS」という乗り物を見た。6000ccくらいあるらしい。こんな乗り物がこの世にあるのだ。

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東京を出て北上を始めてからよく「バイパス(新道)」と「旧道」という言い方をあちこちで聞く。どの地域にもまず最初に町と町をつなぐ旧道があって、そ れだけでは車を抱えきれなくなったから新しく道をつくるんだろう。だからバイパスのほうは歩いていてもあんまり面白くないことが多い。バイパスは車向け に作られた道路だから、道路沿いには車向けの大きな看板のチェーン店とか工場とかがずーっと並んでる。 そんな道を歩くっていう経験はやろうと思わないとできない。今度機会を見つけて何人か集めて「バイパスを歩く」っていうツアーをやってみたい。歩行者は ほぼいないのに歩道はちゃんとあって、車はものすごくたくさん走っている。バイパスを歩くと「スピードの落差」がすごくよくわかる。工業化されてスピー ドアップした社会の代名詞みたいな乗り物と、それにあわせて作られた道路を「徒歩」っていう人類が誕生して以来ずっと受け継がれてきた移動方法で歩く。 こんなわかりやすいことはない。たいていは砂埃と騒音と風圧ですごく疲れる。バイパスをつくらなかったら世界はもっとのんびりした良いものなってたのに って思うくらい、車の騒音と砂埃と風圧が腹立たしい。きっとバイパスっていうものを作ってしまったから、車での移動が一般化して色んな事がはやくなりすぎたのだ。

美術では稼げないことを前提として「絵じゃ食えないだろ」なんて言ってくる人がほんとうにたくさんいる。「面白いことをやっている」のは認めるのに「こ れじゃ食えないだろ」と言うのはちょっと違うというか、スタンスが受け身的すぎるというか。逆だろって思う。「これで食えるかどうか」ではなくて「これ で食えない世界がどうかしてる」っていう姿勢でいないとだめだ。「そっちがどうだろうと、こっちはこうとしか言えないんじゃ」って、まわりを跳ね返す力 というか。とにかく弱すぎる。自戒も込めて書く。
お茶美でもむさびの授業でも「食えるよ」って言ってきた。僕自身が食えてても食えてなくても「食えるよ。だからやんなよ」って人には言いたい。そしてみんな好き勝手やればいいんだ。「食えないでしょ」ってなんだよ。

今日は10時頃に郡山の神社を出て福島市に向けて歩き始めた。10キロくらい歩いたところで知らないおじちゃんに声をかけられた。事情を説明したら「ガ ッツあるなー」と言われてお昼ご飯を近くの食堂でごちそうしてくれた。奥さんと一緒に車で走っていたら家が歩いてるのを見つけて気にいったらしい。 「家をみて、たぶん東京の奴だろうなって思ったんだよ」
と言ってた。やっていることを説明したら奥さんの方が
「うちの庭先に家を置いていいよ」
と言ってくれた。その食堂からさらに6キロくらい北上した「大玉村」っていうところに住んでるらしい。 食堂で別れて、大玉村まで歩いて行った。かなり暑くて着いた頃にはふらふらだった。そしたら家の駐車場にハーレーの単車1台とサイドカー付きのやつが1 台とまっててびっくり。ここのおじちゃんはいま80歳らしいんだけど、ハーレーを3台もってて「福島ハーレー会」っていうのに入ってるらしい。福島はバ イク乗りが多いみたい。
「明日ツーリングの日だからよかったら一緒にいくか?」
って言ってくれて、ハーレーのサイドカーなんて乗れる機会なかなか無いので行く事にした。
暑くて疲れたので9時くらいには就寝。