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いま流行っているビッグバン説でいくと宇宙は138億年くらい前に生まれたとされているけど宇宙に始まりをつくろうとするのはキリスト教的な考え方に寄っていて、本当は宇宙には始まりも終わりもなく、宇宙は無限の過去から無限の未来に続いているとする定常宇宙論と呼ばれている説がある。仏教的といってもいい考え方。さらに我々の祖先はバクテリアらしいというところまではだいたいみんな合意しているけど、そのバクテリアがどのようにして生まれたのかわかっていない。地球上でなんらかの原因で生まれたと考える人が多いけど、DNAのらせん構造を発見した「ワトソンとクリック」のクリックが、パンスペルミア(地球上の生命は宇宙から飛んできたとする説)を科学的に考えようとしたスウェーデンのアーレニウスという学者の考えを受けて書いた「directed panspermia」という論文の中で、地球以前に存在した高度な文明をもった星が、宇宙船にバクテリアを詰めて宇宙に解き放ち(高度な生物では無くバクテリアなら、水と二酸化炭素と太陽光があり環境を整えれば100万年は生きることができる)、長い旅を経て地球に辿り着き、それが進化したのが我々である可能性があると言っている。これは「意図的パンスペルミア」と呼ばれるものだけど、意図的でなくても、生命が繁殖した星の小さな生命の胞子が、風力や電気力の助けを借りて宇宙に飛び出し、それが宇宙空間で光の放射圧を原動力に(あるいは彗星に乗って)宇宙を長い間旅して、どこか遠い星にゆっくりと着陸する可能性はある。現実に、月に送り込まれた探査船が数年後に地球に戻ってきた際、探査船に付着していた微生物が生きていたという報告があるらしい。行った先が月なので、生命が繁殖することはなかったが、火星にも探査船はいっている。なので地球からの微生物が火星にすでに持ち込まれ、そこで進化が始まっている可能性すらある。さらに定常宇宙論で考えると、宇宙は無限の時間を持っているので、どんなに小さな可能性も1にすることができる。宇宙のなかで、生命を生みだす何らかの奇跡が成功するのに1000兆年かかるとしても、宇宙が無限の寿命をもつのならその確率は1になる。

生命は宇宙からきた可能性がある(「宇宙から来た」という言い方もおかしい。地球も宇宙に内包されているし、絶えず隕石は落ちてきているし、絶えず太陽のエネルギーは地球に降り注いでいる。地球と宇宙は絶えず関係し合っている。僕たちの思っている以上に、地球は宇宙に対して開かれている可能性がある)。そう考えると、宇宙のすべての生物はお互いに関わりを持つことになる。そうするとバックミンスターフラーの「宇宙船地球号」という考え方も実感出来る。生命は増殖し、進化する。最初の一粒の胞子が誕生するのに成功したら、あとは自らを増やしていくことができる。その生命のネットワークが宇宙全体で出来上がっている可能性がある。宇宙を旅する生命の胞子がこの地球に落ちてきて、たまたま進化してヒトになった。僕たちは胞子に姿を変えていずれこの地球を出て行く、あるいはもう出て行ったものがいるかもしれない。その胞子はまた新しい星で進化するかもしれない。宇宙は無限に続いているから。

こう考えていくと林友深のテーマや荒川修作が言っていたことやバックミンスターフラーが言っていたことやミヒャエルエンデが言っていたことを大きな輪でつなぐことができる。僕たちは何かを所有できる気になっているがそれは幼稚な勘違いで、このパソコンやiPhoneや家や車はもちろん、この体でさえ自分のものではない。この体(iPhoneも同じようなもんだ)を構成する元素はすべて地球上に膨大にある元素の一部であり、それがヒトゲノム(アップル社の設計図)によって設計され組み立てられ、人(またはiPhone)の形をしている。死んだらゲノムは崩壊して元素に戻る。大事なのはモノではなく、その機能あるいは設計図である。僕たちはこの体を、ゲノムという設計図を通して借りているにすぎない。(ちなみにゲノムの大部分は、ヒトの構成には関係ないウイルス由来のものらしい。進化の過程で、ウイルスがヒトのゲノムの中に入り込みそれがそのまま残ったという。そしてウイルスもまた宇宙から飛来してきた可能性がある。宇宙からの何らかの作用によって地球の生物の進化が影響を受ける。それは例えば隕石衝突による恐竜絶滅説も同じ考え方だ)

地球が生まれてから46億年。最初の生命であるシアノバクテリアが生まれてから30億年くらい。それが進化しヒトの形になったのが10万年前。そのヒトが農耕・定住を始めてからは1万5千年しか経っていない(ラスコーの壁画がそれより前だとされているのは面白い)。産業革命からは2百年くらいしか経ってない。定住することにまだまだ慣れていないし、自分で生み出した道具の使い方や資源の扱い方やヒト同士の共存の仕方にも全然慣れてない。所有という考え方に完全にやられてしまっている。こんなにプリミティブな世界に生きている。

/「スリランカの赤い雨ー生命は宇宙から飛来するか/松井孝典」

09282359 | 2016 | 未分類 | Comments (0)

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