0906

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起きてキナーレの前で絵を描いていたら、昨日の彼女がふらふらとやってきて僕にビニール袋をわたしてきた。中には白いご飯と卵焼きが詰められたパックが入ってた。
「君は家庭の味を知らないからなあ」
と言ってた。そんなことは言ってない。だけど嬉しい。
「道の駅のところにいるから」
と言うので
「ちょっと今日は絵描いたりいろいろあるから相手できないっす」
って言ったら
「あらそう。じゃあね」
とふらふらと去っていった。卵焼き美味しかった。

キナーレから数キロ歩いたところに、一昨年×日町をやった会場の老人ホームがある。お昼頃、絵を描き終わってからそこに向かって歩き出した。3ヶ月以上滞在してた 場所だから歩いていていろんなことを思い出した。×日町は本当にすごいプロジェクトだったと思う。あんまり知られてないのが悔しい。
歩いてて「なんか細長い家が多いな」と思った。十日町に限らず、新潟の多くの地域の家はだいたい屋根が急勾配で平屋は少なくて、車を完全に収納できる駐車場がつい てる。二階に玄関がある家も多い。瓦屋根は少ない印象。豪雪地帯なのでいろいろ工夫がされてるんだと思う。
老人ホームに着いてみんなに挨拶してまわった。2年ぶりになるのかな。歩き回る癖があって職員がよく追っかけまわしていた名物おばあちゃんが、車いすになっていて 話しかけてもほとんど反応しなくなっちゃってた。あんなに元気だったのに。でも他のおじいちゃんおばあちゃんたちはあんまり変わってない。なんとなくほっとした。 2年前に僕が似顔絵を描いたことをちゃんと覚えていてくれてる人もたくさんいた。9つくらいのユニットがあって、それぞれに10人弱のおじいちゃんおばあちゃんた ちが暮らしている。
「この部屋は入れ替わりが激しくて。ここ最近で5人くらい亡くなってどんどん入れ替わってるんですよ」
っていうユニットもあって、そこに住んでる人たちは僕はほとんど知らなかった。ここ最近、死にまつわる出来事とよく遭遇する。背筋が伸びる。ユニットを家と一緒に挨拶してまわってたら夕方になった。一人のおばあちゃんが、晩ご飯の時間になるのも忘れて
「すごいものがきたから、ついつい見ちゃうねえ。たいしたもんだ」
って言ってくれたのがとても嬉しかった。目をうるうるさせてたから。

明日誕生日だ。今日で僕が生きた四半世紀が終わる。

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Posted by satoshimurakami