猫は逃げた
猫は逃げた/新宿武蔵野館。主人公の夫について。妻がサインして、はいあなたの番、と手渡してきた離婚届にすぐサインせずに、これって一番最後なんじゃないの?財産分与とか、家具のこととか全部終わってから、最後にサインするもんなんじゃないの?(他にも、もっと話そうよ、話してないじゃん、と、ろくに話し合いもできないくせにただ話すこと、をやたら重要視する感じも、味わい深いところがあるけどそれは置いておいて)と言うところや、本当は小説家になりたいんだけど、死ぬまで芽が出なかったら悲惨じゃん、と、こいつは小説が書きたいのではなく小説家になりたいだけなのではと思わせることを言ってしまうところとか、夫婦とそれぞれの恋人四人で並んで話してるときも、しばらくの間会話に入っていなくて、いざ口を開いたと思ったら、声が大きいよ、もう夜なんだからと言ってしまうところ、自分の気持もわからず、まして言葉になどできず、しかし世間体や外見(そとみ)はとても気になってしまう、ある種男にかけられた呪いのようなものを緻密に作り込んでいる。よくここまで脚本つくったなと。(そしていま本を読んでいる影響でどうしてもスピノザを思い出してしまう。事物の外に出て、外から事物を見ることができるというのは幻想なのだ)
あとLightersのエンディングテーマ、歌詞がネコ目線なのが良かった。そして猫のカンタ、異常に可愛かった。(05182525)