6月19日の日記

蒲田のNITOにて友人から、20代前半のころ、虚偽のプロフィール(偽名、丸の内で経理の仕事をしていること、趣味など)をことこまかに構築して、都内の色々な相席屋に行って30分間演技をするということを繰り返していたというやばい話を聞く。相席屋は女性が無料で飲食できるので、お金がなかったからというのもあったらしいが、なにより本人が偽の自分を演じるのを楽しんでいるようだった。なんにんものひとと話すから、偽のプロフィールがどんどん研ぎ澄まされて、情報がこまかくなっていくのが面白かったと言っていた。

また大学3年のときに精魂込めて書いた論文の引用元などを教授陣が全然読んでくれなかったことに怒りを覚え、生来のパンク精神を発揮し、4年の卒論の時に学会を破壊してやろうと思い、「アクティビズムとアートをつなぐ先駆者」として、実際には存在しないアーティストをでっちあげ、論文を書き、そのパネル展示では「遺族から借りてきた絵画作品」と銘打って、自分で適当に描いた抽象画を飾ったり、生まれてから没するまでの年表もつくって発表したらしい。参考文献も捏造したらしいが、案の定教授陣はそれにあたることはせず、彼女の発表は学内で賞をもらったという。全部終わった後で、担当教官に「うそなんです」と告白したらこっぴどく怒られ、他の先生方に頭を下げてまわり、どうにか卒業取り消しを免れた。明るい語り口でやばい話が次々と繰り出されるので驚いた。もうアーティストを名乗っていい。自分のためにやっている、というのがいい。

Posted by satoshimurakami