2月19日
夕方、オペラシティアートギャラリーで泉太郎「Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.」を観てきた。入場前にマントを着せられた上での、囁き声のイントロダクションは、聞いていてわくわくした。ジャングルクルーズに入るときみたいで、これから美術館という「再々々野生化された」場所に入っていくから、「マントを着て壁に溶け込んでください」とか、なにやらいろいろと気をつけてください、と忠告され、冒険の始まりのような予感がした。だが、その入り口の壁の向こうで肩透かしをくらう。「空間が歯抜けしすぎでは?」と思った。ただし石膏ボードの仮設壁が倒れていたり、天井のプロジェクターや壁のモニターが全部床に落ちていたりして、展覧会の失敗した感じというか、そのこと自体を扱っている、とも思えなくもない。カタルシスの回避というか。それでも、僕はこの設営が展示オープンぎりぎりまでかかったこと、なんなら「間に合わなかった」との噂も聞いていたので、「単に間に合わなかった」「会場に散りばめられたピースが、本人が事前に想定していた完成度まで到達しなかった」という可能性を考えてしまい、ちょっと入り込めないところもあった。後半、マントがテントに変わって「座り込み」をする流れ面白いな〜とは思ったけれど、正直なところ全体的に、来場者にマントを着せるのもふくめて、「そういうの、もういらんなあ」と思ってしまった。時間がなかったのか、あるいは時間がなくなったことも含めて展示に落とし込んでいるのか、ここまでわからない展覧会も久々だったので、逆にすがすがしい感慨もある。泉さん自身はすごく面白い人なんだろうな、という後味が残っている。