2月23日

道端にしゃがみこんで、ものすごく困っている様子だったので、連れの友人たちとどこかに急いでいたにも関わらず、おばあちゃんに話しかけた。どうも、家のドアの鍵が閉まらなくて困っているらしい。そのドアがとんでもない代物で、地面の近くに小さな「つまみ」が、20個くらいついていて、ラジオのスイッチのように左右にカチカチとまわすことができる。この「つまみ」を正しく操作しないと、鍵が閉まらないということだった。これは、わからなくても無理もないと思った。
おばあちゃんはカスタマーサポートセンターみたいな窓口に電話をしながら格闘していたので、電話を引き継ぎ、指示を仰いだ。電話口の男は「つまみ」が光る順番を覚えてほしいと言う。ドアを閉めるとたしかに、「つまみ」が一つずつ光るようになっている。この順番の通りに「つまみ」を操作すると鍵が閉まるらしい。しかし20個くらいあるので、とうてい一人では覚えきれない。そこで居間みたいなところでくつろいでいる友人たちに協力を仰ぎ、それぞれが担当して順番を覚えるエリアを設定し、「つまみ」を回す操作をおこなった。何度かやったが、結局鍵はしまらなかった。最後、もう時間なので行かなければならないというときになって、おばあちゃんははじめて感謝の言葉を述べた。札のお金を二枚、大きな落とし玉袋に入れて渡そうとしてきた。ぼくは「結局鍵は閉められなかったので」と断ろうとしたが、なぜかその場が感動的なムードに包まれていたので、受け取った。おばあちゃんはいつのまにか小さな子供になって泣いていた、という夢。

Posted by satoshimurakami