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例えば、ある美術館の企画展のためにはるばる遠征し、窓口でチケットを買っている時に、隣の窓口で知らない人が「1800円もするのか。やめとこうかな」と言っているところに居合わせたとして、「この人はこういう企画展に1800円を払わない人なんだな」と考える前に、この人は、今日この瞬間においては1800円を払う気になれなかったというだけである。たとえば待ち合わせ相手の到着が遅れて、急な三十分間の空白ができてしまったから、ふらっと立ち寄ってみたら1800円もするので怯んだというだけで、仮に休日の暇な時間帯だったら、迷わず1800円を払っていたかもしれない、ということを考えることによって、他人のひとつひとつの行動を見るにつけ、いちいちそのひとの人格と結びつけてしまう、この短絡的な脳みそに抗う理性的な思考。これは想像力というよりも、むしろ想像力のブレーキ装置である。京都にて