05052038
大町にて屋根のペンキ塗り作業を終え、脱衣所の水道の簡単な工事を行って水を開通させ、それからお風呂に入って、徒歩10分弱のコンビニまでヨーグルトを買いに行った(レアチーズケーキの材料)。その帰り、音楽を聴いていた(boygenius)というのもあるのかもしれないけれど、前方にいつもの北アルプスの峰々に積もった白い雪を眺めて歩いていたら、そこで蓄えられた水が少しずつ溶けてせせらぎになり、川に合流し、この道端の水路まで流れてきているということが心の底から「理解」できて、それから風が吹いていて、鳥とコウモリが飛んでいて、雲が何層も重なっているのが見えて、空き地に雑草がびっしり生えていて、そしてそのすべてを北アルプスが見下ろしていた。なんて完璧な、奇跡みたいなシステムのなかに自分はいるんだろうと、なんだか目が潤んでしまった。すべてががっちりと噛み合っていて、かつそれぞれに自立もしていて、そして風が吹いている。その「全体」がすべからく、僕の感覚を通して脳みそにおりてきた。人間は、ぜったいにこういう環境のなかに住んだ方がよい。こういう「場所」を持って生きたほうがよい。そのまま家に帰ることができなくて、買ったヨーグルトだけキッチンに置いて、冷蔵庫から缶ビールを取り出して散歩をした。北アルプスに吸い寄せられるように西の方へ向かっていった。boygeniusとブリーチャーズとブルーススプリングスティーンとUlulUを聴いた。十九時ごろから急に空が暗くなってきて、家に帰った。