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二年前に決まっていた福島原発汚染水の海洋放出がとうとう始まってしまった。わざわざ貯めてあるものを、あえて海に流すとはいったいどういう了見なのか。
二年前のVIDEONEWSの大島堅一さんゲスト番組を見返して、海洋放出を決めた「有識者会議」に流れていたであろう雰囲気を想像する。
例えば「百年もつ建屋タンクを作り、あるいはコンクリートで固めて、汚染水は1ccも外界に漏らさない」といった、「大変な事故を起こしてしまったので、腰を据えてちゃんとやります」という態度を見せてくれれば支持できるし、そのための税金なら使ってくださいと言えるのに、とりあえず黒いタンクが並ぶ見た目が「風評被害(これも加害者側が言うワードではない)」であるからといって、その数を減らすために海洋放出をする(放射性物質は薄まるから問題にはならないと言い訳までして)という結論に至った、この流れ。恥ずかしいほどに格好が悪い。とりあえず目の前に見えている問題だけを見て、「作業」として処理し、当面をやり過ごすことしか考えず、歴史に残る事故を起こしてしまった国として、国際社会に対して良い格好をするせっかくのチャンスだったのに、目指すべき理想というものがない国なので、それができない。この「理想がなく、作業でしかない」雰囲気、行政主導の芸術祭やアーティストインレジデンスに似たものを感じる。