0618
どうも「世間のしがらみから解放されたい人」みたいに見られがち。この前の授業でもそんな感想がいくつかあった。「自由になりたい 人」みたいな。そうじゃない。ていうかこの生活に自由はない。強く縛られている。家から目を離せないから行動が制限されるしずっと同じところには居られないから、歩かなくちゃいけないし絵も書かなくちゃい けない。この社会から逃げたいわけではない。悪く言いたいわけでもない。世界をまわしてるこの大きな大きな装置を悪いなんて簡単に言 えない。縄文時代に戻りたいとか、荒野に行って一人で狩猟採集しながら暮らしたいとか、田舎にこもって畑でもやりながら自給自足生活 したいとか、全然まったく思わない。お酒をのみながら人と話したりするのが好きだし映画館とか劇場とかライブハウスとかクラブとか美 術館が好きだしお金も好きだ。そのためにこの装置は必要なものだ。敵にまわそうなんて思わない。選挙にも行く。「自由」対「社会」み たいな二元論で考えがちなのかな。何が誰が悪いって簡単に言えないから難しいのだ。ライムスターだって歌ってる。誰もがお互い指差し てばっかりだって。あらゆる事は他のあらゆる事と関係していて、自分もそのまっただ中にいるのだ。問題を自分が引き受けないといけな いのに。人に指した指は自分にはね返ってくる世界になってるのに。家において基礎と上の箱の部分は分けて考えるべきだってことに昨日 気がついた。そう考えると現代の人にとって家がどういうものなのかとても見えやすくなる。
今日こそは登米市に向かう。石巻の人は登米のことを「とても良いところ」という。そういえば水戸の人は常陸太田市のことを「とても良 いところ」って言ってた。良いところいっぱいあるな。
石巻から北の内陸のほうに20キロくらい進むと登米市に入る。言われてた通り、 すごく景色の良いところ。道路の左側を見ると山と湖と川がダイナミックに関係しあいながらずっと続いている。そしてうっすら霧がかっ ていて神秘的。
途中にあったデイサービスセンターの職員さんに声をかけられて、1時間半くらいそこでおばあちゃんおじいちゃんたちと 過ごした。職員さんがあるおばあちゃんに「東京から来たんだってー。すごいね」と言ったらそのおばあちゃんは「かわいそうだ。かわい そうだからあんまりかまうな」みたいなことを言ってた。そういう見方もある。そういう見方もあるな。デイサービスセンターの独特の時 間の流れ方を久々に目の当たりにした。どんな時間でもみんなでつぶせば怖くない。
先日道路で会った登米市在住のご家族の家に着いたのが19時ごろ。僕が小さいころの家族構成とほとんど同じ4世帯同居のにぎやかなお うちだった。わんこもいる。わんこも含めた皆さんとても暖かく歓迎してくれた。まだほとんど初対面なのに。すごい。奥さんとおば あちゃんの「どうぞどうぞ」っていうせりふの言い方が似ている。良いな。だんなさんが仕事帰りに石巻のお酒を買ってきてくれてみんな で飲むなど。旦那さんのお父さまは油絵をやる人だった。夜はその家の離れの一室で寝かせてもらう。