0708
キャンプ場で昨日と同じように二度寝。二度寝の回復力はすごい。管理人のおばちゃんが台風が近づいていることを教えてくれた。 「とっても大変なことになってるのよ。大きくて、本州がすっぽり入っちゃうくらいなのよ。でも10日くらいまでは大丈夫みたい」 ってすごいテンションのおばちゃんだ。10時頃キャンプ場を出て宮古市方面に向かった。
5キロくらい歩いて、陸中山田という駅の近くを通ったときに男の人に話しかけられる。ちょっと話したら
「今日飲もうぜ。泊まってけ」
と言われた。うーん、まあそれもいいかなあと思って
「いいっすよ」
と返事した。そしたらその近くのプレハブ小屋からおっちゃんがでてきて
「なまウニ食わしてやっか」
と言って、プレハブ小屋から生ウニを何枚か器に入れて醤油をかけたものを持ってきた。路上で生ウニをもらったのは初めてだ。 声をかけてきた人は土木業をやってる会社の社長さんだった。仮設の事務所に案内してくれた。 そこには事務所のほかにお好み焼き屋とか日本一小さな駄菓子屋とか床屋とかがある商店街っぽいところだった。 僕は「床屋がある!」と思った。ずっと髪を切るタイミングを探していたのだ。今だ。ここしかない。 で、髪を切ってお金を払おうとしたら
「お金いらないから、そこの駄菓子屋の絵を描いてもらえないかな」
と言われた。良いな。なにかもらったらなにか返したくなる気持ちになる。その気持ちで経済がうごく。 この店は床屋のおばあちゃんが、震災後子供が集まる場所が無くなったからと、ボランティアで始めたお店らしい。
夜は社長さんと従業員の人(八戸の人で、震災後から山田町で働いてるらしい。週末は八戸に帰るらしい。)と、僕を数日前からネット上で追っていたという役所の人 (ラブライブの西木野真姫ファン)と、もう一人の従業員(なんかめんどくさい赤子のように扱われていた)というメンバーで飲む。
そしたらそこで社長が 「土曜までここにいれば、八戸に帰る人と一緒に家ごとのっけて行けるよ。それまでうちで働いていくか」 という話を持ち出した。良い提案だと思った。面白いな。やってみるか。でも八戸はちょっと行き過ぎなきもする。別に八戸まで1日で行ったところで1年が短くなる わけではないから全然いいんだけど。どうしよう。「行き過ぎかな」っていう気持ちが湧いてしまうのは、やっぱりどこか「歩いて本州1周の旅」みたいなつまんない 名目に踊らされているんだろうな。僕自身がまだそういう「移動が目的」みたいな理解の仕方しかできないってことだ。移動が目的なんじゃない。移動を常態化するの が目的なのだ。だから目的地とかそういう概念は無いはずなんだ。夏は北の方が過ごしやすいから北上してるだけなのにな。でもとりあえず土曜くらいまで山田町にい ることになりそう。それまで地元の会社を手伝うのも面白そう。
先日話しかけてくれた高校生のツイッターのTLをのぞいてたら、たくさん尊敬する人がいるみたいだ。尊敬する人がたくさんいる状態ってのは健全だな。他者へのリス ペクトは、自分の偏見を解いて色眼鏡をはずしてくれる。その対象は多ければ多いほど良い。それは親とか兄弟とか恋人とか、近しい人だと忘れてしまいがちなんだ。 気をつけないと。他人と争ってる場合じゃないって坂口恭平さんも言ってた。争うべきは自分の無意識だけ。孤独になれない人がしょうもない事で人と争ってしまうん だろうな。しょうもない悪口言ったり強く当たったりしちゃうんだろうな。生き方に直接関わること以外で人とぶつかりあう必要ないのにな。