0717
家の絵を描いていて気がついた。僕は家の外観だけを描いているけど、有名な古民家とか外面を意識したような家を描く気にはあんまりなれない。それは作為的につくられていない家の外観が面白いからだ。窓とか通気口とか換気扇とかエアコンの室外機とか物置とかそういう「家の外壁側にあるもの」って、家が外からどう見えるかで位置が決まるんじゃなくて、家の中をどういう間取りにしたいかっていうところから決まる。それが表にあらわれるんだ。「中をどうしたいか」っていうのがそのまま「外からの見た目」になる。つまり家の顔になってしまうってすごく面白い。その配置はつくろうとしてもなかなかできるものじゃない。そういう目で自分の絵を見返してみると、どれも違って飽きない。
観光案内所まわりをそうじしてたおじさんから、今週末十和田湖で花火大会があることを教わった。それは行くしかない。ということで時間を稼ぐためにもう1日ここにいることにした。車かバイクが無いとどこにもいけない。近くの道の駅にある林檎ソフトクリームが美味しいって友達が教えてくれたけど、そこまで10キロくらいある。なのでずっと寝ていた。なのでちょっと散歩したあと夕方まで足湯のそばのベンチで寝てた。
お腹がすいたから、ここらで唯一の飯屋の上高地というお店に行った。お店には近所のおばちゃんとお店のおばちゃんが話し込んでいた。近所のおばちゃんは
「1日経つのがあっというまねえ」
って言って店を出て行った。同感。そこで十和田名物らしい豚バラ丼を食べる。店のおばちゃんから、いまはだいぶ人が減っちゃったけど昔はとっても賑やかな町だったという話を聞く。この店の前の通りがどうやらメインストリートらしく、昔は飲み屋が17軒くらいずらっと並んでいたらしい。いまは1軒しかない。観光シーズンになると忙しくなるけど、昔に比べたらだいぶ減ったという
「それって何でですかね?」
って聞いたら
「なんでだろうねえ。昔は交通の便が悪かったから、青森市の方に行くにも十和田湖のあたりで一泊って人が多かったんだけど、新幹線とかできて便利になったから。いっぺんに青森まで行けちゃうからね。そういうのがあるかもしれないねえ」
って言ってた。そうかまたこの問題につながってくるのか。あたりまえだけど、駅が出来ると駅以外のところを見ることがなくなる。駅をつくるってのはある意味で暴力だな。「目的地だけ目指してより速く」ってつまんないのにな。それじゃ頭で思いついたところしか行けないのにな。
店を出る時におばちゃんが
「野菜あんまり食べられないでしょう」
って言って、大きなトマト二つとお菓子をくれた。嬉しい。また来たい。それまでお店やっててほしいな。
昨晩遅くに若い男女のグループがやってきて、ドアを開けようとしたり(人が入ってると思わなかったらしい)写真を撮ったりしてきて目が覚めてしまったので、今日はちょっと家を動かして寝る。近くにATMが無いのでお金がおろせず、いま所持金が300円しかない。